【連載】教師のためのセルフコーチング 2 自分自身と対話するとは

京都文教大学准教授 大前暁政

 

セルフコーチングでは、「自分と対話する」ことが重視されます。
自分自身に質問し、望んでいたゴールや、望ましい手立てを考えていくのです。
別の表現をすれば、自分の中に、もう1人の自分、コーチをもつのです。

「自分はどうしたいのか?」
 「どういった方法でゴールに向かうのが望ましいか?」

こういった質問を、自分自身にしていくのです。
ちなみに、質問は、建設的なものにするのがポイントとなります。

というのも、マイナス思考を生む質問をすると、悪いことが次々と浮かんできて、先に進めなくなるからです。例えば、「なんでいつもうまくいかないのだろう?」「この出来事の悪い面は何だろう?」といった質問です。
そうではなく、よい未来に向かって、新しい一歩を踏み出せるような質問をすべきです。たとえ逆風のときでも、次のような建設的な質問をしてみましょう。

「この出来事のよかった点はあるか?」
 「この出来事を、逆に何らかのチャンスにできないか?」

このように、未来のよりよいゴールに向かう気持ちが高まる質問をするのです。

さて、未来のゴールに向かうには、何ができるのかを考えなくてはなりません。いまできる、最善の手を打つ必要があります。
最善の手を打ったら、また、別の最善の手を打っていきます。
ここでも、建設的な質問が効果を発揮します。

「今できることは何か?」
 「自分のやりたいことは何か?」
 「うまくいくための方法はたくさんあるのではないか?」

特に、「方法は無限にある」と考えておくことが、とても大切です。
八方ふさがりに見えても、視点を変えれば、やるべきことが見つかる場合が多くあるものです。
ここでも、注意すべきは、マイナス思考です。

「ひょっとしてこういった悪いことが起きるのでは?」と考えると、悪い方向へと考えが進んでしまいます。
確かに、最悪の状況を想定して行動することも、意味がないとはいえません。それで、安全の確保ができるかもしれないからです。

ただ、最悪の結末は、起こらないことがほとんどです。
いらぬ心配をしていると、自分の心が疲弊するばかりか、新しい一歩を踏み出せなくなる恐れがあります。このような「マイナスの憶測」に陥らないようにしましょう。

自分と対話することで、困難が起きたときでも、さまざまな視点で物事をとらえ、そして、さまざまな方策を考案できるようになります。「方法は無限にある」。それが実感できるはずです。
セルフコーチングを使えば、困難に対して、問題解決をできるばかりか、より自分にふさわしいゴールに向かって進むことが可能になります。
別の表現をすれば、「精神的な自立」ができるようになるのです。

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