【連載】新たな教育への提言 第1回 社教接続の観点で見直しを

㈱THINKERS代表取締役 山内学

 

社教接続の観点で見直しを

4月23日に、当社主催で「高大接続システム改革会議から考える 国際バカロレア認定校でのICT・ポートフォリオ活用」というセミナーを開催した。中等教育サイドからは、立命館宇治中学校・高等学校の小澤大心教諭と、ぐんま国際アカデミー中高等部の武藤哲司教諭、高等教育サイドからは、ミネルバ大学の山本秀樹日本事務所代表、事業者サイドからは、iOSコンソーシアム文教WGの野本竜哉座長と私が講演を行った。

「高大接続システム改革会議」に関する報道は、どうしても「大学入試改革」という側面にフォーカスが当たってしまうが、この「改革」が要求される背景について認識を共有する必要がある。「高大接続システム改革会議 最終報告」の冒頭から引くと、「国際的にはグローバル化・多極化の進展、新興国・地域の勃興、産業構造や就業構造の転換、国内では生産年齢人口の急減、労働生産性の低迷、地方創生への対応等、新たな時代に向けて国内外に大きな社会変動が起こっている」とある。

つまり、変動する社会を子どもたちが生き抜くために、それに適う教育をする必要性から「改革」が出てきたと考えるのが自然であり、「高大接続」は、社会と教育の接続の必要性から来る、いわば「社教接続」の一部であろう。

教育は社会と独立ではない。社会がこれだけの変動を迎えているのだから、教育も変わらざるをえない。それを端的に表す事象が、教室とオフィスの乖離だろう。先ほどのセミナーの参加者だった都留文化大学の野中潤准教授が、リサーチマップの研究ブログ(2016.4.26)の中で「教育現場(教室)と現実社会との接続という問題」を提起した。「教室空間において、生徒たちが常にシャープペンシルとルーズリーフで学習し続けるという状況をこのままにしておいてよいのか」という問題である。社教接続という観点に立てば、ICT導入にあたって、「社会で使われているICTをどう教育のなかで活用するか」という視点が求められる。

もう一つ、ポートフォリオについて触れておきたい。「高大接続システム改革会議 最終報告」から、「活動・成果のポートフォリオ的な蓄積と活用」と「その他生徒が自ら関わってきた諸活動」を取り上げる。前者は、多面的な評価検討ワーキンググループでの議論であるが、大学入試改革で後者の諸活動を提出する必要が出てくると、そもそも活動を記録していなければならない。学内活動だけでなく学外で生徒が主体的に関わった活動も含まれ、それも中学の頃からありうるわけだから、学外の活動も含め、中学・高校と学校が変わっても一人ひとりの生徒にひもづく学習・活動履歴が管理されていなければならない。

こうした問題意識から、「学校を超えて学びあえる10代のSNS THINKERS」の着想を得た。1つのApple IDで個人が利用したアプリの履歴が管理できるように、1つのThinkers IDで学習・活動記録を管理できるサービスである。ただ、単に「学習・活動を記録する」といっても、生徒には響かない。SNSがはやるのは、自分の考えや活動を人に見てもらい、共感やフィードバックをもらうのがうれしいからである。この「うれしい」という感情にもっと寄り添いたい。その感情が主体的な学びや活動を促すからだ。

山内学(やまうち・がく)(株)THINKERS代表取締役 同社は、自ら考え、行動し、表現する若者を支援する事業で未来を創ろうと起業。探究型学習を支援し、学校を超えて学びあえる10代のSNS『THINKERS』は、学研アクセラレーター2015に採択されている。

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