【連載】今なぜ?ピア・サポートか 3 トレーニングで関係性高める

キャチング・ザ・スティック=「トントン」のリズムに合わせてスティックを突き、「パッ」で離して素早く右に横移動。何回続けてキャッチできるかを楽しみながら、相手意識や協力関係、連帯感を高める
キャチング・ザ・スティック=「トントン」のリズムに合わせてスティックを突き、「パッ」で離して素早く右に横移動。何回続けてキャッチできるかを楽しみながら、相手意識や協力関係、連帯感を高める

静岡県立浜松江之島高校教諭 山口権治

 

トレーニングプログラムとサポート活動のあらましをまとめます。

まず最初に、人間関係づくりを行い、参加者同士の関係性を良くした上で、さらに参加者の相互理解を深めるのを目的に、話し手の事実や気持ちを聞き取る傾聴訓練を行います。続いてそれを自分の言葉で要約して伝え返したり、自分の思いを伝えるアサーショントレーニングを行います。構築された良好な人間関係に基づいて他者の相談に乗る問題解決スキルを学びます。最後に一番難関とされる、対立解消のスキル(メディエーション)を学んでトレーニングは終了します。

それぞれのトレーニングとサポート活動の詳細は後述します。

■成果

1年間にわたり行ってきた全10回のトレーニングが、参加した生徒たち(33人)の人間関係構築(つながり)に対してどのような影響をもたらしたのかを調べるために、アンケートを実施しました。

「本活動を通じて、あなたのコミュニケーションに関する能力が向上したと思いますか?」との問いに、56.7%が「そう思う」、43.3%が「まあそう思う」と回答しました。また「本活動を通じて、他の参加者と良好な関係が築けたと思いますか?」との問いに、60.0%が「そう思う」、40.0%が「まあそう思う」と回答しました。これらの結果から、彼らのコミュニケーション能力は向上し「人とうまく付き合っていく技能」を習得できたと考えられます。

また「本活動を通して、他の参加者から支えられていると思うようになりましたか?」との問いに、「そう思う」が78.8%、「まあ、そう思う」が18.2%という回答でした。ここから、活動を通じてサポートされる体験をし、それが他者から優しく支えてもらえる安心感につながり、ストレス耐性が向上したと考えられます。

次に、対立解消スキルを学んだ後のアンケート結果によると、「友人がいじめられていたり、対立に巻き込まれていたりしたら、対立解消のスキルを使って仲裁したいと思いますか」との問いに、74.4%の生徒が「そう思う」、25.6%が「まあそう思う」と回答しました。このことから、対立解消スキルを学べば、多くの生徒が仲裁者になり得るのが分かります。

■サポート活動の概要

ここでいう「サポート活動」とは、年間10回のトレーニングを終了した生徒が、学びを生かして他者支援を行うことです。具体的には、次のような事柄になります。

▽クラスで悩んでいる友人に対しての相談活動▽生徒カウンセラーによる相談室の開設▽週2回、昼休みに校内を巡視して、孤立している生徒に声かけの実施▽朝の挨拶運動▽小・中学校での、ピア・サポート活動を理解してもらうためのピア・サポーターによる出前授業

次回からは、トレーニングとサポート活動について、具体的に説明していきたいと思います。

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