【連載】特別支援教育の根本 13 重度重複で医療ニーズ高まる

(学)大出学園支援学校若葉高等学園理事 清野佶成

 

肢体不自由のある児童生徒の特別支援教育について、考えていく。

肢体不自由とは、文科省の定義は「身体の動きに関する器官が、病気やけがで損なわれ、歩行や筆記などの日常生活動作が困難な状態」としている。身体障害者福祉法では「身体障害を、視覚障害、聴覚障害、平衡機能障害、音声機能・言語機能・咀しゃく機能の障害、肢体不自由、心臓、腎臓、呼吸器、ぼうこう等の障害」としている。

教育と福祉の違いは、福祉では身体障害の中に肢体不自由を入れており、視覚障害、聴覚障害、病弱、言語障害等をも含め大きく捉えている点を理解しておくことが大切。

医学では、肢体不自由をどう捉えているであろうか。国立特別支援教育総合研究所の説明を引用させてもらおう。「発生原因のいかんを問わず、四肢体幹に永続的な障害あるものを肢体不自由といいます。先天性に四肢体幹の形成が障害されたり、生後の事故等によって四肢等を失ったりすることなどによる形態的な障害によって運動障害が起こる場合と、形態的には基本的に大きな障害はないものの中枢神経系や筋肉の機能が障害されて起こる場合があります」。運動障害の原因となる主な病気は、脳性まひ、二分脊椎などであるが、知的障害やてんかんなどを伴う合併症がある場合が多い。病気の詳細は医学書に譲る。

肢体不自由特別支援学校の対象とする障害の程度は連載第6回で述べたので、再度読んでほしい。

特別支援学校では、どのような教育がなされているのであろうか。最近は、重度重複の障害がある児童生徒が多く在籍しており、障害の状態により学習が困難な場合が多くみられる。そこで児童生徒一人ひとりの障害の状態や発達段階を的確に把握することが必要である。その上で、どのような教育支援が必要かを考えねばならない。

特に重要なのは、障害に基づく困難を改善・克服するための指導である「自立活動」(前回の連載第12回で解説)に力を入れている点である。体の動きの改善やコミュニケーションの力を育てる指導を行っている。また重複障害の児童生徒の中には、日常的に医療的なケアを必要としている子どもが多くいる。それは医療技術の進歩、在宅医療の普及、特別支援学校への就学ニーズなどによる。

しかし、教員には医療行為ができないために、保護者の付き添いが必要となる。それは保護者にとっては大変な負担となる。学校にとっては児童生徒の生命の安全を確保し、適切な教育をする取り組みが求められる。根本的には学校で医療ケアを安全に行うために看護師等の配置の医療体制の確立が第一義であるが、当面の対応として厚労省、文科省は医学的、法律的な検討を図った。

「盲・聾・養護学校におけるたんの吸引等の取扱いについて」と題する初等中等教育局長通知(16文科初等第43号)で、医療的ケアは看護師等が行うのが原則であるが、医師または看護職員の資格を有しない教員に「一定の条件」が満たされれば、適切な医学管理の下に特別支援学校において、その教員がたんの吸引、経管栄養(胃ろう、腸ろう)、自己導尿の補助を、初めて実施できることになった。

「一定の条件」とは(1)保護者および主治医の同意(2)医療関係者による的確な医学的管理(3)医行為の水準の確保=看護師および実施に当たる教員が必要な知識・技術に関する研修を受けていること。特定の児童生徒の特定の医行為について研修を受け、主治医(指導医)が承認した特定の教員が実施担当者となり、個別具体的に承認された範囲で行うこと。当該児童生徒等に関する個々の医行為について、保護者、主治医(指導医)、看護師および教員の参加の下、技術の手順書が整備されていること(4)学校における体制整備等。

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