【連載】教育のユニバーサルデザインにチャレンジ 25 周囲にアプローチする① 現代の子どもの傾向

星槎大学准教授、日本授業UD学会湘南支部顧問 阿部利彦

 

前回まで、通常学級ですべての子にソーシャルスキルが必要である、と述べてきました。では、どのような子どもたちが特にその対象と考えられるのでしょうか。私が気になっている子どもたちの傾向は、次のようなものです。

(1)先生に自分だけ大切にされたい傾向の子ども

私たちの小学生のころは、「先生」というのは尊敬すべき特別な存在でした。そして先生は、クラスみんなの先生でした。また休み時間には、先生と遊ぶよりは友達同士で遊ぶ方がずっと楽しかった気がします。

ところが最近は、友達との関係より先生との結びつきを優先している子が増えてきています。特に低学年の子の中には、先生に自分だけを見ていてほしい、自分だけに関わってほしいという感じの子がたくさんいます。「ぼくだけ見ていて」。そんな子どもたちがたくさんいると、例えば特定の子に個別の支援をしている場面を見て、いじけたり、怒ったり、先生を責めたりするクラスメートが出てくる可能性があります。

(2)自分に敏感で、相手に鈍い傾向の子ども

実は今、相手に対して寛容になれない子どもたちがたくさんいます。自分はさんざん他の子に迷惑をかけても平気です。友達の失敗を笑ったり、揚げ足を取ったり、嫌がらせをしたりすることを、楽しそうにします。そして、先生が「相手の気持ちになって」と諭しても、なかなか指導が染み込みません。一方で、いざ自分が誰かにちょっと責められると、深く傷ついて、「やられた~!」と泣き叫んだり、思いっきり叩いたり、大騒ぎをしたりします。そんな被害感の強い子が多くなってきています。

(3)楽しいこと、ラクなことに流れる傾向

今が楽しければいい、そんな雰囲気が、子どもたちの間に蔓延してきています。また好きか嫌いか、楽しいか楽しくないかが、物事の判断基準になっているのです。授業中、子どもたちの言葉に耳を傾けてみると、「めんどくさい」「これきら~い」「つまんなそう」。そんな言葉が飛び交っています。「じっくり取り組む」「プロセスを楽しむ」などの大切さを伝える機会が減ってきていることにも問題があるようです。

(4)気持ちを切り替えるのが苦手な傾向

発達障害のある子は気持ちを切り替えるのが苦手である、とよくいわれます。定型発達の子どもたちの中にも、気持ちを切り替えるのが困難な傾向の子が増えてきているように思われます。イライラをなかなか収められずに長時間引きずる子や、休み時間と授業時間の切り替えがうまくできない子、活動の切り替えが苦手な子などがクラスで見受けられます。

彼らの課題と、私がSST指導で重視している3つのポイント「自己肯定感」「共感的理解」「他者視点取得」とは大いに関連がありそうです。

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