【連載】新たな教育への提言 第2回 21世紀の新5教科とは

(株)THINKERS代表取締役 山内学

 

「STEM」あるいは「STEAM」という言葉をご存知だろうか。

SはScience(科学)、TはTechnology(技術)、EはEngineering(工学)、MはMathematics(数学)の略で、これら頭文字を合わせるとSTEM。さらにArt(アート)を加えるとSTEAMになる。STEMは03年ごろから、アメリカで使われるようになった教育用語だが、日本も「科学技術立国」と称して科学技術分野には力を入れてきた。では、なぜSTEMが声高に叫ばれるようになったのか。

今日、インターネットや無線通信、コンピューターの処理能力の劇的な向上というICTインフラの上に、IoT、人工知能、ロボット、ビッグデータなどの社会構造を変えうる技術革新が迫っている。この点は、経済産業省の「新産業構造ビジョン」~第4次産業革命をリードする日本の戦略~産業構造審議会中間整理(平成28年4月27日)を参照されたい。

詳細は割愛するが、「痛みを伴う転換をするか、安定したジリ貧を取るか」といった刺激的な文面が並ぶ。この現在進行形の産業革命に備えられるかどうかが、21世紀の競争力を左右するだろう。それは国民生活の豊かさに直結する。したがって、STEM教育がより重要になるというわけだ。

もちろん、STEMのように先端技術のみを偏重しかねない教育には、疑問を呈する向きもあるだろう。文化や心の教育も大切だし、普遍的な原理原則を教えるのが、初等中等教育であるという意見も理解できる。しかしそれは、これまでの伝統的な主要5教科(英・数・国・理・社)という枠組みでしか教えられないのだろうか。科学は「そもそも」を疑うところから進歩してきた。その文脈でいえば、教育においても「そもそも」をそろそろ疑っていいころだろう。

さて、8月30日に、日本科学未来館で「THINKERS FES 2016」が開催される。中身は、10代のプレゼンコンテストとプログラミングコンテストだ。加えて、大学や企業等の展示ブースを設け、世に出たばかりの製品や先端技術に中高生が触れられる機会を提供する。応募できる部門は、Research(研究)、Global(英語)、Active(活動)、Creative(創造性)、Technology(技術)の5つである。

さて、この5部門、GlobalをEnglishにして頭文字をとるとREACTになる。STEM(STEAM)に対し、グローバル社会に対応するための英語を入れ、ScienceをResearchにすることで、人文社会科学を含めた探究心を養うことを視野に入れた。かくいう筆者は、大学で「社会工学」を専攻しており、これは社会的問題を工学的手法で解決しようという学問である。

科学的・工学的手法が適用できるのは、なにも理系分野に限った話ではない。Activeがあるのは、中高生に主体的な活動を促すためである。考えるだけで、行動できなくては意味がないからだ。REACTには、社会構造の変化に対応する、という意味も込めている。

そろそろ、まとめたい。アウトプットから逆算して、来るべき産業革命に備えよう。アウトプットとは従来のペーパーテストを意味しない。自ら考え、実行し、それによって得られたものを発表し、フィードバックをもらう。単元ないしプロジェクト学習の最終ゴールを発表(アウトプット)に置いて、そこから逆算して知識を得、その活用を学ぶという学習スタイルだ。先のイベントが、その一助となれば幸いである。

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