【連載】どうする 学校のプログラミング教育 1 現状とみんなのコードの活動

(一社)みんなのコード代表理事 利根川裕太

小学校の次期学習指導要領が始まる平成32年度を目標に、初等中等教育におけるプログラミング教育必修化の方針が発表された。今年4月に開催された産業競争力会議の中で、安倍晋三首相自らプログラミング教育について言及し、文部科学省が開催した有識者会議では取りまとめ案も了承された。筆者もその中で委員を務めており、研究者や専門家らと議論を進めてきた。

プログラミングといえば、一昔前は専門的な知識であった。仕事でプログラミングを必要とする者だけが学ぶ職業訓練的なイメージも強かったであろう。しかし、近年は第4次産業革命と呼ばれ、多くの産業でIT化が進められている。例えば、農業、プロスポーツ、飲食店といった業界でもIT化が進んでいる。将来はあらゆる仕事がITとは無縁でいられないのだ。

このような時代を生き抜く子どもたち。だからといって皆がプログラマーを目指す必要はない。しかし、コンピュータはどうやって動くのか、それを使って何ができるのかなど、子どものころから体系的に学ぶことが必要だという考えが、先進国を中心に広がってきた。つまり、専門的な知識としてではなく、これからの時代を生きるために必要な「教養」としてプログラミングを学ぶことが重要だというのだ。

こうした価値観の広がりは、既に日本の保護者の間にも広がりつつある。「将来、どんな仕事に就くにしてもITは必要だからプログラミングを学ばせたい」「学校の教科学習は苦手だが、子どもが集中して取り組めるプログラミングを学ばせたい」など、さまざまな理由で民間のプログラミングスクールに子どもを通わせる保護者が増えている。

筆者が代表を務める「一般社団法人みんなのコード」のワークショップやイベントにも、そうした親子連れが多く集まる。みんなのコードは、公教育におけるプログラミング教育の必修化を目指し、筆者が平成27年に立ち上げた団体だ。「プログラミング教育の普及啓発」「学校教育の支援」「政策提言」の3つの活動を行っている。

具体的な普及啓発活動としては、世界の多くの教育機関で利用されている「Hour of Code」という教材を使い、1時間程度で取り組めるプログラミング体験の場を提供している。子どもも親も先生も、まずはプログラミングがどのようなものかを体験してもらうことが重要だと考えているからだ。プログラミング体験で子どもたちに知ってほしいのは、自分もコンピュータを動かせるということだ。

普段、子どもたちは、ゲームや動画など与えられたコンテンツの消費者の立場でいるが、プログラミングを体験することで、自分もコンピュータの〝作り手〟になれるのに気づいてほしい。ITが普及した世の中だから、ITの作り手になることができれば、子どもたちの人生をより豊かにすることができると考えている。

学校教育の支援としては、授業の支援と指導者育成に力を入れている。初等中等教育段階におけるプログラミング教育は、指導者育成が課題だという指摘が多い。みんなのコードでは、学校の先生に対しても、指導者向け研修会などを積極的に開催している。ぜひ多くの先生に参加してもらいたい。

普及啓発活動や学校教育での知見をもとに、プログラミング教育の活動を全国に広げるべく、文部科学省の会議等で政策提言も実施している。今後も先生たちに寄り添いながら、子どもたちの将来につながるプログラミング教育の活動を展開していきたいと考えている。

利根川裕太(とねがわ・ゆうた)代表理事=平成27年に(一社)みんなのコードを設立し、学校現場でのプログラミング教育の支援、プログラミング教育の啓発活動、政策提言活動を行っている。

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