「子どもが主体的に学ぶ算数」とは 第4回JEES教育シンポジウム

教師力つけ「覚える」から「考える」に

NPO法人全国初等教育研究会(JEES、柳瀬修理事長)主催、(株)教育同人社協力の第4回JEES教育シンポジウムが6月14日、都内で開催された。「教師力をつけよう、若手教師たち! 『子どもが主体的に学ぶ算数』とは何か?」をテーマに、基調講演とパネルディスカッションが行われ、学校現場、教育研究者など、それぞれの立場から若手教師に具体的なアドバイスを送った。

考える算数について話す坪田教授
考える算数について話す坪田教授

■算数的思考を育てるアクティブ・ラーニング

「子どもが主体的に学ぶ算数とは?」と題して基調講演したのは、坪田耕三青山学院大学教育人間科学部教授。「算数の学びは、子どもにとっては未知の問題に挑戦する内容である。問題を解明するために、持てる力でなんとかしようとする。これらの体験を繰り返していくと、『算数』は自分で考える勉強だと意識するようになる。教師には、子どもたちの多様な考えを『見る』『聞く』『考え方をほめる』が大切。子どもが主体的になるには、子どものつぶやきに耳を傾けるのが重要。『どうして、こんなことをやってみたの?』と問いかけ、子どもたちの考え方を見て見ぬふりをしないことだ」とした。

また算数的思考を育てるためのアクティブ・ラーニングについて、折り紙を使ったワーク(4分の1をつくる、正三角形をつくる)などを通して、5つのポイントを示した。

(1)想像力を育む活動の奨励=ハンズオンの素材や教材を活用し、子どもが頭の中で具体的なイメージを持てるように、一例として折り紙を活用。

(2)論理的思考力の育成=「なぜ……」の問いかけに対して、「だから……」と説明できるようにする。誰もが納得する方法で理由を説明できる能力は、将来、さまざまな分野で生かされる。

(3)探究的態度の育成=子どもは、夢中に活動する中で、探究的な態度を育む。身の回りの中に算数のヒントがないかを常に意識する。子どもには本来「考えたい」「知りたい」「やってみたい」といった欲求がある。これらの欲求に寄り添うのが大切。

(4)発展的思考を強調する=1つの問題を解いたらそれで終わりにしないで、「もしも」の意識をもち、次の「問題づくり」をしていく態度を育てる。一つひとつ解明し、世界を広げていく楽しさを教えるのが大事。

(5)共生・共創の学び=互いの存在を認め、協働の気付きを行い、考え方の多様性、互いの励まし合いなどをもとに思考を深めていく。

こうして、「覚える算数から考える算数へ、との方向性を念頭に置いてほしい。算数の本質は、筋道を立てて考えることにある」と結んだ。

■算数の本質は筋道を立てた思考

パネルディスカッションは、東京都の柳瀬泰三鷹の森学園三鷹市立高山小学校校長が司会。テーマは「主体的に算数を学ぶ子どもを育てる教師力」。羽中田彩記子東京都荒川区立第一日暮里小学校校長、門田剛和三鷹の森学園三鷹市立高山小学校主任教諭、盛山隆雄筑波大学附属小学校教諭がパネリストとして登壇した。

「子供がアクティブになる問題解決学習」について、その瞬間をどう仕掛け、その時間をいかに深めるかについて門田主任教諭は、作成した小学校4年生算数の指導案を素材に、パネリストと参加した教員らの間で「この指導案は、主体的な授業になるか否か。また主体的な授業にするためにはどんな工夫が必要か」について意見が交わされた。

門田主任教諭の指導案の内容は、連続した5つの数の和を求める中で、(「その和=真ん中の数×5」)のきまりに気付き、その理由を考えさせるもの。カレンダーを見せ、連続した5つの数で考慮させた。参加者からは「問題設定が子どもの興味をひくものであるか」「教師の予測はどうなのか」「子どもは予測通りの反応をするか」「カレンダーという素材を使う意味は」などの問いがあった。

これに関してパネリストからは「カレンダーという身近な素材なのだから、まずは自由に見させてはどうか。身近なものが算数の授業になるという意識を持たせ、授業が終わってからも家で見たくなるようにする。教師は自分が知っている法則に合せようとせず、子どもに合わせるのが大切。考え方を子ども自身に決めさせ、教師も一緒に考えることが大切」などの意見が聞かれた。参加者らは、主体的に算数を学ぶ子どもを育てるために必要な考え方や方法論について、理解を深めていった。

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