【連載】特別支援教育の根本 14 外部の専門人材を有効活用

(学)大出学園支援学校若葉高等学園理事 清野佶成

 

前回、肢体不自由の特別支援学校の教育、特に医療的ケアについて述べた。医療ケアの他に機能訓練を必要とする子どもも多く在籍している。機能訓練は、本来は病院等の医療機関で理学療法士等が行うのが中心であるが、学校では自立活動の中で、実習助手等によって日々行われている。

特別な指導領域である自立活動の内容は、特別支援学校学習指導要領に「健康の保持」「心理的な安定」「人間関係の形成」「環境の把握」「身体の動き」「コミュニケーション」が挙げられている。

「身体の動き」としての指導内容は、(1)姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること(2)姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること(3)日常生活に必要な基本動作に関すること(4)身体の移動能力に関すること(5)作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること――が、機能訓練として行われている。

東京都は平成21~22年度の2年間、試行検証として、外部人材として介護の専門家、介護福祉士、ホームヘルパー2級資格者を導入し、自立活動専門教員の役割の見直し、外部専門家・理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)等との連携によって、一般教員に対して自立活動の指導・方法を指導・助言・示範する役割を担う教員とし位置付けるものとしている。このことから、28年度を目途に、すべての肢体不自由特別支援学校に指導体制を確立するとしている。

これは教員と介護の専門家の役割分担を明確にすることにより、教員が授業づくりに専念できる環境を整備し、授業の質の向上と教員の授業力の向上を図ることができるとしている。

肢体不自由特別支援学級の対象は、25年10月4日付け25文科初第756号初等中等教育局長通知によると、「補装具によっても歩行や筆記等日常生活における基本的な動作に軽度の困難がある程度のもの」。「軽度の困難」とは肢体不自由特別支援学校への対象の障害程度ではないが、例えば筆記、歩行等の動作速度、正確さ、持続性に困難さがあって、通常学級での学習が難しい程度のもの、としている。

肢体不自由の通級による指導の対象は、前述の通知によると、「肢体不自由の程度が、通常学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの。通常学級の学習は、留意、配慮して行い、運動・動作の状態や感覚・認知機能の改善・向上を図るための特別な指導が一部必要な児童生徒」。

軽度の障害がある児童生徒が、通常学級にも在籍している。日本肢体不自由教育研究会によると、小・中学校の通常学級に約1200人前後の子どもが学んでいると推計している。ここでの課題は、第2回連載で述べた合理的配慮をいかにするかである。松葉杖、車いす、補装具等使用のためのバリアーフリー、教室配置等の校内環境整備や移動介助の検討が必要である。

また通常学級に在籍している児童生徒の中には医療的ケアが必要な場合がある。その場合は保護者が毎日付き添い医療的ケアをしており、大変な負担となっている。

川崎市は平成24年から、保護者の負担軽減を図るため、訪問看護ステーションと連携し、週1回、看護師が学校を訪れ、保護者の代わりにケアをするとの、全国に先駆けた事業をしている。この事業によって児童生徒が自力でのケアが可能となり、看護師と学校の連携により安全・安心な環境作りが図られたケースが見られた。

今年は週2日もしくは2週分を組み合わせて3時間利用を可能とした。これはまさに、行政ができる合理的配慮であり、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築の方向を示したものであろう。

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