【連載】今なぜ?ピア・サポートか 6 トレーニング(3)アサーション

静岡県立浜松江之島高校教諭 山口権治

 

前回は、話し手の事実や気持ちについて、「良い聞き方」や「くり返し」の技法を使いながら、相互理解を深めるために傾聴訓練を行いました。

今回は、相互理解を深めるのを目的とした、アサーショントレーニングと非言語コミュニケーションについて説明します。

傾聴訓練では、話し手の事実・気持ちを熱心に聞き取ることを学習しました。今回はそれを、自分の言葉に「要約」して聞き手に伝え返したり、自分の思いを伝えたりするアサーショントレーニングを行います。最後に、感情を理解するために、非言語コミュニケーションを学びます。

まず「要約の仕方」について練習します。これは具体的には、話し手の発言に対し、「あなたは……という気持ちなのですね」「あなたの考えは……なのですね」「その理由は……」などと返していく形式をとります。こうして、相手の発言を「要約する」大切さを学びます。

続いて要約の実践として、ペアで「人生の選択」というワークを行います。まず、聞き手は話し手に、「夏休みに遊びに行くとすれば、あなたは海を選びますか、山を選びますか」と質問します。話し手は、選択した項目と選択した理由を聞き手に語ります。一方聞き手は、話し手が語った話を要約して、話し手に伝え返します。同じ要領で、先程の回答を受けて「海(もしくは山)で知り合った相手と恋に落ちました。あなたが恋人を選ぶなら、顔で選びますか、性格で選びますか」と質問していきます。その後、役割を交代して同じ問答を繰り返します。

非言語コミュニケーションの重要性が分かっていく
非言語コミュニケーションの重要性が分かっていく

このことによって、相手の話をスムーズに要約できるようになります。

最後に、「非言語コミュニケーション」のワークを行います。相手の感情を理解するためには、言葉だけではなく、表情やジェスチャーも読み取らなければなりません。このワークは、3人のピア・サポーターの生徒が「うれしい」「悲しい」「怒り」「不安」を、それぞれ表情とジェスチャーだけを使って表し、それを見た他の参加者がその感情を当てるというものです。「うれしい」「悲しい」「怒り」は当てられるのですが、「不安」は、ピア・サポーターが一生懸命演技しても、当てるのはなかなかできません。このワークを通じて参加者は、人の話を聞くときの非言語(感情表現など)理解の重要さと難しさを学ぶことができます。

まとめとして、聞き手が話し手から「良い聞き方」や「くり返し」を使って、話し手の事実・気持ちを傾聴し、それを自分の言葉で要約して伝え返すというコミュニケーションの一連の流れを図解をして説明します。さらに、相手の感情を理解するためには、言葉だけでなく、表情やしぐさなどの非言語が重要である点も改めて伝えます。

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