【連載】学級経営の基礎基本 縦糸と横糸のルール 4 初任者学級がよみがえる

元横浜市立小学校教諭 野中信行

 

2年生の初任者のクラスがみるみるよみがえった。当の初任者(男性)はびっくり。心配して授業訪問を続けていた校長もびっくり。「野中先生、あのクラスには、何があったのですか」と尋ねられたほどである。

私は、初任者指導としてこのクラスに1週間に一度訪れていた。1年生のとき、片方のクラスが崩壊し、そのクラスの半分の子どもたちが2年生の初任者のクラスに来ていた。

5、6人の男の子が落ち着きなく、うろちょろを繰り返していた。だから、毎日初任者は彼らを叱りつける。しばらくは静かになるが、また同じようにうろちょろ。モグラ叩き状態が続いていた。

様子を見ていた私は、「どうですか。叱りの効果はありますか」と聞いてみた。「ほとんど効果がありません。同じことの繰り返しです!」と。「何か、うまい手立てはないですか」と反対に質問が返ってきた。

「手立てはありますよ!」と教えたのは、個人目標達成法。目標達成法の低学年版になる。
(1)今、クラスで困っていることをいくつか挙げる。このクラスについては「話の聞き方」「給食」「勉強の始め」「そうじ」「かたづけの仕方」の5つを挙げてきた。
(2)その5つに「○○ハカセ」と名付ける。
(3)子どもたちに「○○ハカセになりましょう!」と呼びかけ、それぞれのハカセの条件を話す。「べんきょうハカセ」の条件は、勉強の始めに机の上に教科書、ノート、筆箱を置き、膝に手を置いて待っていられる状態になっていること。
(4)勉強が始まるとき「Aさん、すばらしい! べんきょうハカセ1回」と声をかける。
(5)Aさんは、鉛筆を持って、掲示板に貼られている名簿に○をつける。
(6)10個○がついたら、「べんきょうハカセ」になる。

1カ月で、この2年生のクラスはみるみるよみがえっていった。あの5、6人のやんちゃたちも、きちんと席に着き、勉強を始めるようになっていた。
この個人達成法に半信半疑であった初任者自身が驚いたのである。何が起こったのだろうか、と。給食もきちんと食べるようになり、掃除も時間内に終わることができるようになった。

何よりもほとんど「叱る」ことがなくなり、「Bさん、いいね! ○○ハカセ1回」とほめて、声をかけるだけ。
これだけで教室に「秩序」が出来上がり、勉強していく雰囲気が成立したのである。

要するに、「ルールづくり」(学習規律を含めて)をやったのである。彼らは、「叱る」という『北風』よりも「ほめる」という『太陽』に動かされたわけである。
詳しくは、『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(明治図書)の「個人目標達成法」を参照してほしい。

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