【連載】どうする 学校のプログラミング教育 2 有識者会議取りまとめに思う

(一社)みんなのコード代表理事 利根川裕太

 

筆者も委員を務める「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」は、今年5月から3回にわたり、プログラミング教育の在り方について議論を重ねてきた。その内容をまとめた「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」が、6月に発表された。

議論の取りまとめでは、小学校におけるプログラミング教育の定義について、「子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験しながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての『プログラミング的思考』などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない」としている。

また筆者も会議で主張した点だが、「子供たちが、(中略)、便利な機械が『魔法の箱』ではなく、プログラミングを通じて人間の意図した処理を行わせることができるものであり、人間の叡智が生み出したものであることを理解できるようにすること」も、プログラミング教育必修化の背景として挙げられている。

そのため、小学校段階では「身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと」に焦点をあて、体験を通してプログラミングに触れるのを重要視している。

小学校でプログラミングが必修化されるといっても、新しい教科が新設されるわけではない。具体的には、既存の教科の中でプログラミングを活用した学習を実施することになり、有識者会議では、何年生のどの教科でプログラミングを実施するのかという点については、それぞれの学校の教育目標、環境整備、指導体制などが異なるため「各学校で決める」という結論に至った。

議論の取りまとめでは、総合的な学習の時間、理科、算数、音楽、図画工作、特別活動でのプログラミングの指導内容のイメージと留意点をまとめている。一読していただきたい。一例としては、算数の「図の作成等において、プログラミングを体験しながら考え、プログラミング的思考と数学的な思考の関係やそれらのよさに気付く学びを取り入れていく」などが挙げられている。

筆者の個人的な意見としては、総合的な学習の時間で3~5時間ほど掛けてプログラミング自体を学ぶのが重要だと考えている。

これは、プログラミングという道具(あるいはプログラミング的思考)は他の単元の“ついで”に学習できるほど簡単な領域ではないと考えているからである。また指導の実務面も考えると、プログラミングの初歩的な内容を単体で指導するほうが、他の教科の単元に組み合わせて指導するよりも容易であると考えるからである。

一方、今回の議論の取りまとめについては、関係者や保護者の方からさまざまな意見があがっている。なかでも、学校側がプログラミング学習の内容を決める点については、“プログラミングに興味のある教員が数時間実施して必修化をクリアする”“いくつかのプログラミング本を見て、子どもたちになぞらせて必修化をクリアする”といった対応になるのではないかと危惧する声もある。

私たちとしては、先生方に納得感を持って良質なプログラミング教育を子どもたちに提供していただきたいと考えていて、指導者の育成や教員のスキルアップに、私たちも協力をしていきたいと考えている。

小学校段階におけるプログラミング教育の在り方についての議論の取りまとめは、文科省サイト内(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/122/attach/1372525.htm)に。

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