【連載】教育のユニバーサルデザインにチャレンジ 27 周囲にアプローチする③ 気にしすぎる子 その2

星槎大学准教授、日本授業UD学会湘南支部顧問 阿部利彦

 

3.影でコントロールする子(影の司令塔)とは

影の司令塔タイプの子は、先生がいないところで配慮を要する子をからかい、いじめ、怒らせます。

そして、その子がパニックになると、その場からすーっと離れていき、先生が来るころにはパニックになっている子だけが残る、という巧妙な動きをする子です。

このタイプでは、学習面やスポーツなどで保護者からの期待がプレッシャーになっている場合が多くあります。

その過度の期待、「もっとがんばれ」のストレスに追い込まれています。

地域のサッカーチームや野球チームで活躍しているタイプの子もいて、レギュラーに入れるか否かのストレスを感じている子もいれば、極めようとしていたスポーツを諦め、その挫折感から、はけ口を探している子もいます。

また、学級の「場」を壊すのが目的で、クラスメートの前向きな雰囲気やまじめなムードを破壊することに喜びを感じる、大変屈折した部分があるのです。

4.「気にしすぎる子」の共通点とは

さて、彼らの共通点にはどんなものがあるのでしょうか。

まず挙げられるのは、自分たちが正しいことを言ったのに先生に受け入れられなかった、という体験を多くしている場合です。

例えば「先生、Aさんだけちゃんとやってません。ズルをしてます」などと先生に報告すると、先生が「いいのよ、Aさんは。特別に許してあげて」などと対応したとします。すると「どうしてだよ」「納得できない」と子どもたちは自分が行った「正義」(と思っている事柄)が通らなかった理不尽さを経験します。

そのくせ自分が同じことをすると先生に怒られてしまう場合があり、「なぜ自分だけ?」という気持ちが強くなります。それが積み重なっていき、「ひいき」に対する怒りがつのるのです。

もちろん、それだけではありません。
彼ら自身が「認められた」という経験が少ないこと、また自分だってこんなにがんばっているんだぞ、という思いをたくさん味わっていることが影響しているといえるでしょう。

そう、彼らだって先生に目を掛けてほしい、そう思っているのです。

*参考文献「通常学級のユニバーサルデザイン プランZERO」(阿部利彦)、東洋館出版、2014

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