【連載】新たな教育への提言 第4回 プレゼンテーションと教育

(株)THINKERS代表取締役 山内学

 

社会におけるプレゼンテーションの重要性は増すばかりだ。組織の内外に対して、企画や製品・サービスの魅力や意図を伝え、合意や共感を得るためには必須である。社会において求められる能力であれば、教育においてもその向上に資するプログラムを積極的に取り入れるべき、というのが連載初回で述べた「社教接続」の考え方だ。ゆえに、教育においてプレゼンは重要である。

プレゼンというと、「プレゼンだけはうまい」といった、ともすれば中身の無さをやゆする表現に使われる場合があるが、プレゼン自体の重要性は否定できない。もちろん、プレゼンには「実体」が必要だ。ここでいう実体とは、教育であれば、研究・制作・活動などを指す。

現在、8月30日に日本科学未来館で開催される「THINKERS FES」という10代のプレゼンコンテストを中心としたイベントの準備をしている。コンテストの応募締め切りは7月31日だったが、応募状況は正直、芳しくない。広報や運営の拙さもあるだろう。しかし、実体がなければプレゼンしようがないのも事実である。「18歳でプレゼンするものがない」という状態は作りたくない。

さて、とある会社の営業トップクラスの人が、「営業とは、会社と商品のポテンシャルを100パーセント、外に伝える行為」と語っていたのを覚えている。それをプレゼンに置き換えると、「プレゼンとは、自分と成果のポテンシャルを100パーセント、外に伝える行為」になる。営業もプレゼンも「実体」がなければ、100パーセント外に伝えたところで、知れている。その実体を形づくる手伝いをするのが、教育の1つの役割だろう。「実体の形成」と「成果の発表」、この両輪が21世紀型教育では必要だ。

先日、高校生の学生団体と共催したプレゼンのワークショップには驚いた。内容は、各自が自分でプレゼンしたいテーマを持ち寄り、グループ内でプレゼン内容をフィードバックしあい、最後に動画で自身のプレゼンの様子を撮影してもらって、自分のプレゼンが人からどう見られているかを確認する、といったものだった。学校もバラバラで、あくまで個人の意思による参加者が、1週間の告知期間で30人近く集まったのもさることながら、その年代で自分が人に伝えたいテーマを持っていて、それを他の人にどうすれば伝えられるかについて、自主的にみんなで切磋琢磨している様子に感動すら覚えた。

このように、違う学校の生徒にプレゼンする機会は貴重である。なぜなら、初見または会って間もない人にプレゼンする機会が、実社会では多いからだ。プレゼンにためらってしてしまう理由の1つに羞恥心があるが、参加者の意識レベルが高いこともあり、オープンマインドな環境が形成され、羞恥心よりも表現したい気持ちが勝っていたように見えた。

いわゆる2021年以降の大学入試改革では、中等教育までの活動実績と今後の計画、そのベースとなる志や意欲を、プレゼンという形で表現する能力が求められる。それには、日頃の実体形成と発表機会が必要だが、学校内だけでは限界もあるだろう。生徒の成長のためには、積極的に外部へプレゼンしていく姿勢も必要だ。

「THINKERS FES」では、それを応援する場を提供していきたい。

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