【連載】どうする 学校のプログラミング教育 3 夏休みにプログラミング体験

(一社)みんなのコード代表理事 利根川裕太

 

初等中等教育におけるプログラミング教育の必修化に向けて、今から取り組まなければならない課題は多い。なかでも、プログラミング教育への理解を広げる取り組みは、一朝一夕には進まないため、今から地道な取り組みが必要だ。

教員や児童、保護者、その他の教育関係者など、教育現場ではまだまだプログラミングを知らない人が多い。ワークショップなどを通して、まずは実際にプログラミングとはどのようなものか、見て、触ってもらうのが重要だと考えている。

筆者が代表を務める(一社)みんなのコードでは、教員や児童など関係者がプログラミングを体験できる機会の提供に力を入れている。今年の夏は、「Hour of Code夏休み全国100校1万人プログラミング」と題してプログラミング教育を全国的に広げる無料キャラバンを実施中だ。夏休みが始まった7月23日に、そのオープニングイベントを東京都小金井市立前原小学校で開催した。同イベントには、小金井市内小学校の児童や一般申し込みで応募した参加者ら116人が集まった。

オープニングイベントで子どもたちは、タブレット端末やロボットを使ったプログラミングのワークショップに取り組むとともに、人工知能やVR(バーチャル・リアリティ)などの最新テクノロジーに触れた。こうしたテクノロジーの展示はIT企業の協力を得て実現したのだが、単にプログラミングを学ぶだけではなく、プログラミングを通してどのようなモノを作ることができるか、そして、作ったモノが社会でどのように役に立っているのかを子ども自身の目で見ることも大切だと考えている。

参加した子どもたちは、2時間のワークショップにもかかわらず、集中力を切らすことなく取り組んだ。「もっとやりたい」「家でもやりたい」「楽しかった」という声が多く挙がり、保護者からも、「このような体験ができて良かった」「プログラミングは他の教科よりも世の中とのつながりが実感しやすいので、もっとやってほしい」など好意的な意見が多く聞かれた。

その一方で、イベントに参加した教員たちからは、子どもの生き生きした姿を受け入れつつも、設備面や授業実践などについての不安材料が挙がった。

これについては、続く全国のキャラバンや教員対象の研修会や意見交換会などを通して、現場の教員が有益な情報を得るのがまずは必要であると考えている。また今後のプログラミング教育の裾野を広げていくためには、教員等の関係者同士のネットワークを築き、自由に議論ができるコミュニティを築くことも大切だ。

その具体的な活動の第1弾として、8月27日にプログラミング教育必修化の本質を考える関係者限定のシンポジウムを開催する予定だ。文部科学省の有識者会議委員や実践校の教員らも同席し、6月に発表された「議論取りまとめ」を深く掘り下げたり、先進的にプログラミング教育に取り組む実践校の教員らとも情報交換会を行う。また実際に教材に触れる時間も設けて、これからの授業実践につながる議論も行いたい。

できるだけ多くの先生方にご参加いただき、今後のプログラミング教育の礎を築く一助にしていきたいと考えている。

(シンポジウムの詳細は、みんなのコードのウェブサイト(http://code.or.jp/)に掲載。申し込みはメールかファクスで)