【連載】飯田稔のすばらしき教員人生 99 夏休みに聞いた話

■読書習慣は皆無か

40歳代の夫婦は、ともに国立教員養成大学卒業で小学校教師をしており、順調なコースを歩んでいるのだろう。でも2人は“教員の研修”にはおよそ不熱心。この夏休みも命令(行政)研修に数回参加しただけ。

この2人をみていた近所の退職校長が呆れて「教育書」を届けたそうだ。最新の本を5、6冊と聞く。目を通すことはなかったようだ。もちろん、読後感など口にすることもなし。読まないのだから。もしかすると、読書習慣などは皆無なのかもしれない。それでいて、学校では読書指導をしているのだろうから……。恐いことだ。

■スーパーやコンビニへは

この夫婦、スーパーやコンビニに足を向けるのは熱心。共働きだから、当然だろう。でも書店に足を向けることは、全くといってよいほど無い。だから、新刊など話しても通じない。教師の当今の生態なのだろうか。そう思いたくもないのだが……。

学校に勤めて、給料をもらえばいいのだと夫は語る。妻は、特定の職制(管理職等)に就くつもりは夫にもないという。上昇志向どころか、これでは水平思考も危ういかと思うのだが。よく考えてみよう。40歳代といえば、学校内でもそれなりの影響力をもつ存在である。本を届けた前述の退職校長は、自分の40歳代とは全く違うと語る。

■教師文化なのか

ご当人にしてみれば、これが“教師の生き方”として、なんの不思議はないのだろう。もしかすると、2人がそれぞれ勤める学校の、教師文化なのかと思えてくる。でも、夫と妻の勤務地は、同一県内であっても全く異なる。
教員一人ひとりの心構えや学びの意欲は、それぞれ異なる。これは当然だし、個人差でもあるのだから。教員研修の課題は、まことに厄介なものだ。「馬を水辺に引いていくことはできても、水を飲むかどうかは馬の問題」と語ってくれた人がいる。筆者が尊敬するS校長(併任・教授)だ。この人との出会いが、かつての日に筆者を“夏の学び”に導いてくれた。今も、それを忘れない。

(元公立小学校長、千葉経済大学短期大学部名誉教授)