【連載】今なぜ?ピア・サポートか 9 トレーニング(5) 対立解消

静岡県立浜松江之島高校教諭 山口権治

 

校内研修「メディエーションのロールプレー」
校内研修「メディエーションのロールプレー」

今回は「メディエーション(対立解消)のスキル」を学びます。「メディエーション」とは、今までに学んだ「良い聞き方」「くり返し」「要約」のスキルを用いて、当事者の話を聴く中で事実・気持ち・願い(どうなりたいか)を理解し、話を発展させて共通点を見いだし、合意を形成するものです。これは、ピア・サポートの中で最も難しいスキルとなります。

前述の問題解決のスキルは二者関係の枠組みで行いましたが、「メディエーション」は三者関係の枠組みに変わるので、より難易度が上がります。

そこで、トレーニングの前に、成功のための2つの条件を提示しておきます。1つは「両者(当事者同士)が仲良くなりたいと思っている」ということ。そしてもう1つは「感情コントロールと問題解決は、同時にできない」ということです。当事者が感情的になっている状態だと、冷静に相手の主張を聞くことができず、問題の解決に到達しないため、結果としてメディエーションが成立しないのです。

その後、仲良しグループの待ち合わせ時間をめぐるトラブルという問題について、状況のみを設定して「メディエーション」を実践します。

まず3人組を作り、Aさん役、Bさん役、メディエーター役を決めます。共有情報をメディエーター役に配布し、Aさん役およびBさん役には共有情報とは別に、Aさん、Bさんそれぞれの情報(事情)が書かれたシートを配布します。次に、三者共通の情報(共有情報)と、Aさん・Bさんそれぞれしか知らない情報(事情)が書かれたシートを読んで、各自の役割を確認します。

このとき、本来ならばAさんの情報はAさんのみ、Bさんの情報はBさんのみしか知らないという状況でロールプレーを行わなければならないのですが、参加者である生徒にとってこれをいきなり行うのはハードルが高いので、今回はこれらの情報を全員に共有のものとして取り扱うこととします。

ここで、このシチュエーションにおける「ケンカの仲裁」のDVDを見せます。他の参加者は、自分のなすべき役割を意識しながら、これを見ます。ロールプレーを始める前に、「メディエーション」を実践するにあたってのルールと、成功させるためのコツを説明します。そのルールは、両者がお互いの言い分を聴くために「(1)相手の話をさえぎらない」「(2)相手の話を最後まで聞く」「(3)本当のことを言う」の3つです。成功のコツは、対立を解決するために、目に見える部分(行為・状況)だけではなく、目に見えない部分(感情・願い・頑張り)を両者から引き出すことです。これに引き続いて実際に「メディエーション」のロールプレーに入ります。その際、各役割を5分ごとに交代して、全ての役割を体験できるようにします。

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