【連載】教育のユニバーサルデザインにチャレンジ 28 周囲にアプローチする④ 気にしすぎる子 その3

星槎大学准教授、日本授業UD学会湘南支部顧問 阿部利彦

 

5「問題行動を真似る子」の支援

このタイプの子は、幼児性が残っている分、素直で指導が入りやすいのです。

しかも影の司令塔のように裏表があるわけではないので、行動は一貫していて支援の目標がしぼりやすく、かわいげがあって、大人の「ほめ」が大変効果的なのです。

さて彼らはなぜ問題行動を模倣するのでしょうか。そう勉強がわからないからです。そこで、模倣犯の子に再三注意を促す、といった方法ではなく、学習面で十分な支援をし、学力をつけていくことが、最大の支援なのです。発達障がいのある子から引き離そうと説得したり、強制的に距離をとるようにしたり、ではなく、授業で参加感をもたせ、学習に集中できるよう工夫していくことで、結果的に離すことができるわけです。

学習や生活の目標を立てる場合には、具体的で、なるべく低く設定してあげて、スモールステップで支援することがポイントになります。小さなことでもがんばったら多く褒めてあげる。叱る際には意図的に皆の前で叱り、けじめをつけさせます。とにかく当たり前のことでも、丁寧に、その場で指導していくことが望まれます。

授業中はこまめに机間巡視して、学習を支援し、もし保護者の協力が得られる場合には、家で宿題を見てもらう。明日の準備などを一緒にしてもらうなどの対応で、彼らが勉強に向かう動機づけを高め、少しでも「わかった」「できた」を積み重ねる。そう、発達障がいのある子への学習支援と共通する部分がたくさんあるといえるでしょう。

すなわち、授業のユニバーサルデザイン化を工夫していくことにより、問題行動を真似する子たちを変えることができるのです。

6「わざと刺激する子」の支援

彼らの到達目標などは、少し負荷をかけた設定にし、達成感をより刺激することが重要です。あまり低いレベルだと「先生はぼくを、わたしを認めてくれていない」というような気持ちになりやすいので、配慮が必要です。

この子は、とにかくよく気がつく子どもたちです。そして最大の特徴は、大人の役に立つことが嫌いではないことです。彼らには特に一人ひとりに役割を与え、それが達成できたときに先生が心から感謝する、という流れを積み重ねていく、という支援がきわめて重要です。先生に、大人に、他者に貢献した、という経験の蓄積によって「先生が喜んでくれることで、なんだか自分もうれしくなる」というところに気づかせていく取り組みが必ず効果を発揮するでしょう。

相手の気持ちに気づけるような働きかけのまず第一歩として、「先生の役に立つ」ということからスタートさせていきたいものです。

*参考文献『通常学級のユニバーサルデザイン プランZERO』阿部利彦、東洋館出版、2014

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