【連載】どうする 学校のプログラミング教育 4 いまや世界的な流れとなった

(一社)みんなのコード代表理事 利根川裕太

 

筆者はこの7月に、米国サンディエゴで開催されたCSTA(コンピュータ・サイエンス・ティーチャー・アソシエーション)というカンファレンスに参加した。

CSTAとは、コンピュータ・サイエンスに関わる教育者たち、また同分野に興味を持つ関係者らが参加する大規模なカンファレンスである。教育者がコンピュータ・サイエンスの授業実践を発表したり、ワークショップに参加して教材研究に取り組んだりすることができる。小学校から高校までのコンピュータ・サイエンスを対象にしており、参加者は、全米から500人以上にもなる。

日本以外の国では、プログラミング教育についてどのような議論がなされているのか。前々から興味があった筆者は、米国の同カンファレンスで教育者たちの生の声に耳を傾けた。

米国では、各州に教育政策の権限が委ねられているため、地域によって取り組む内容が異なっている。全体の傾向としては、プログラミング教育の低年齢化が進んできたこと、指導者が不足していることなど、日本と似たような状況であるのが実感できた。最先端と思われている米国のコンピュータ・サイエンス教育であるが、学校教育の現場では試行錯誤が続いているといえる。

しかし、その一方で、同カンファレンスに、東海岸の学校に勤務する図書館司書が参加するなど、米国では多様な人材を巻き込みながらコンピュータ・サイエンスが普及しつつある様子を垣間見ることができ、印象的だった。

このように、プログラミングの学習を含むコンピュータ・サイエンスを小学校や中学校に導入する動きは、日本や米国だけではない。英国、ロシア、ハンガリーでは既に、初等教育段階においてコンピュータ・サイエンスが必修化されている。そのほか、韓国、シンガポール、フィンランドなど多くの国で同様の動きが始まっている。第4次産業革命と呼ばれるいま、先進国では産業構造の変化に伴い、IT人材の不足が深刻化しつつあることや、コンピュータを受け身に使うだけでなく、”コンピュータでつくる”のを重要視する価値観が広がっていることなどが、その背景にある。

とりわけ、積極的なのは英国だろう。「コンピューティング」と呼ばれる科目を2014年に小学校1年生から必修化し、アルゴリズムやデジタルコンテンツの作成、情報モラルなどコンピュータに関する幅広い知識を学ぶようになった。プログラミングもその1つとして位置づけており、発達段階に合わせて体系的に学ぶようカリキュラムが整備されている。

そのほか韓国では、2014年から小・中学校のモデル校に対してソフトウエア教育を開始し、2017年を目標に小学校の正規教育課程にプログラミング学習の導入が予定されている。フィンランドは今夏から、小学校の必修科目としてプログラミングが導入された。日本同様、新しい教科を設けるのではなく、既存の教科の中でプログラミング教育が実施されるようだ。

このように公教育におけるプログラミング教育の導入は、いまや世界的な流れでもある。ゆえに、日本ばかりに目を向けるのではなく、各国の動向にも注意しながら、日本に合った学習環境を提供していかなければならないと考えている。

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