【連載】飯田稔のすばらしき教員人生 100 教職員図書費は指導書購入費

■教科書の「教師用指導書」が必要

「職員図書費で、いい教育書を揃えましょう」と言った筆者に、「それはできません」と教頭は答える。筆者が、教員養成大学附属小副校長(国立学校設置法施行規則による)から、公立小学校の校長に採用された年のことである。学校予算の使い方検討の折だ。

「なぜできないか」と教頭に問うと、「教科書の教師用指導書を、全教科・全学級揃えると、この予算は消えてしまう」との答えである。「教師用指導書がなければ、授業もできないでしょう」と、付け加えてもくれた。指導書頼りの授業の日々だったか。

「これが、学校の現実」と承知。「手を打たなければ、学校は変わるまい」と思案。翌朝、教頭と教務主任に校長室へ来てもらった。

■学校の体質・慣行で育つと

「教師用指導書を頼りに授業を進め、教材メーカーの作ったワークブックでテストをして、日々を過ごしている現実。これでは、教職を『セミ専門職だ』などと、言ってはいられません」と話を切り出すと、教頭は筆者の話を理解した。教科教育の力のある人と、市内では定評のある人だからか——。

ところが、教務主任はこの話が理解できない。(1)指導書があって授業は成立(2)テスト問題など作ったことがなく、ワークブックへの信頼・依存度は高い——というのだ。多年にわたる学校(教育界)の体質と、校内の慣行が、この教務主任の発言となる。当人は、正しいことを言っていると思い込んでいて、恥じることなど一切ない。

■目利きもいないようだ

しかし、市予算の教職員図書費が、教師用指導書購入でなくなってしまうとは……。また、教師用指導書を揃える程度の予算額でしかないことは、教育委員会の見識とも関わるのではないか。

加えて、教育書を揃えるほどの予算がもしついたとしたらどうだろうか。残念ながら、どんな本を選んだらいいかの目利きの人が校内にはいない。もちろん、筆者は大丈夫。こうしてみると、教師用指導書購入で消えてしまう程度の予算額でよろしい、となるのか。

予算増額を求める前に、教師の力をつけなければなるまい。それには従来型とは異なる研修プランを、と筆者は方策変更を考えた。

(元公立小学校長、千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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