【連載】学校教育相談の歩みと展開 第14回 ロールプレーで実感的に学ぶ

函館大谷短期大学名誉教授 保坂武道

 

構成的グループエンカウンターやアサーション・トレーのプログラムの実際を、かいつまんでまとめる。

■構成的グループエンカウンター

中学校の教員を対象に実施した構成的グループエンカウンターのエクササイズである。

(1)ペンネーム=自分につける(2)自由歩行・挨拶・握手(3)誕生日チェーン=無言で誕生日順に並ぶ(4)二人一組=ペンネームの意図を聞き合う(5)5つの質問=相手に聞きたいことを聞く(6)二者択一=数人グループで自分がどちらを選択するか理由を話す(7)肩たたき=じゃんけんに負けた人が勝った人の肩をたたきながら、今日あったことを思いつくまま話す。相手の話を要約して確認し、感想を述べて交代する(8)トラストウォーク=じゃんけんに勝った人が目をつぶり、負けた人が教室の中を案内して歩く。不安を超えて信頼関係を結ぶ——など。

この他、▽私の人生に影響を与えた人▽私の好きな言葉▽別れの花束などを行う。

全体の流れは、▽ウォームアップ=雰囲気作り、アイスブレーキングなど↓インストラクション=ねらいの展開とやり方の説明↓エクササイズの実施=課題への取り組みとねらいの体験↓▽聞き合い活動=気づいたこと、感じたことを互いに話し、聞き合う↓▽振り返り=シェアリングワークシートなどに、気づいたこと、感じたことを記入する。

ねらいは、▽自己理解▽自己受容▽自己表現・自己主張▽感受性▽信頼体験▽役割遂行。

構成的グループエンカウンターでは、シェアリング(分かち合い)が最も重要な要素である。

■アサーション・トレーニング

アサーション・トレーニングは、さわやかな自己表現を身につけるためのものである。1960年代のアメリカで、黒人や女性の権利意識・公民権運動・弱い人のために発祥し、理論化。70年代には、さらに効果的・積極的な人間関係の促進に活用される。平木典子氏(1981)が日本的に合うトレーニシグ様式を考え出した。

次のような状況の中で「君はどう言うか」とトレーニングする。
 (1)テスト前に、クラスメートにプロ野球観戦を誘われたとき、その誘いをどう断るか。
 (2)図書館で勉強中に、数人がうるさくて迷惑している。どう言って静かにしてもらうか。
 (3)給食の配膳中、並んでいる列に、数人が横から入ってきた。どうやって順序を守ってもらうか。
 このような場面を想定し、ロールプレーで実践的な表現を学び、自信をつけさせる。

【演習】

▼親子関係

娘が友人と夏休みのある晩、花火大会に出かけ、夜中の2時に帰ってた。親は午後11時に帰ってくると思っていたので、何か起こったのではないかと心配し、いらいらして待っていた。娘が帰ってきたときの親の発言を考えてロールプレーする——。

◆発言例
 ◇アグレツシブ(攻撃的)=「一体、今まで何をしていたの! 今何時だと思っているの! 一晩中、人を寝かせないつもり! 道にでもどこでも寝たらよかったのに!」といきなり怒鳴る。
 ◇ノン・アサーティブ=帰ってきたのを見て、何も言わずに黙って眠りにつく。
 ◇アサーティブ(さわやかな自己表現)=「とても心配していたのよ。11時には帰ると言ったでしょ。だからすごく気になってね。遅くなると電話してほしかったわ」と、はっきり自分の気持ちを伝える。

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