【連載】今なぜ?ピア・サポートか 11 小1も関係修復の技法活用

静岡県立浜松江之島高校教諭 山口権治

 

人と関わる楽しさを実感した
人と関わる楽しさを実感した

児童生徒の変容などについて、教員からや児童生徒からの感想をまとめました。これらの中に、ピア・カウンセリングの本質が映し出されてもいます。

■小学校のエピソード=1年生担任

A君、B君、C君が教室を走り回っていたので、他の子が「やめてほしいからピア係さんと話し合いたい」と言い、丸くなって話し合いを始めました。このクラスでは「ピア係」を作っています。初めは3人ともどうして走り回っていたのか言えなかったのですが、ピア係さんが順番に話を聞いていくうちに、A君はB君を追いかけたり、たたいたりしていたのが分かりました。でも、B君はそれが嫌だと言えなかったので、A君はB君の嫌な気持ちが分からなかったそうです。A君は自閉症スペクトラムです。

ピア係さんはA君に「B君は嫌だったんだって。嫌な気持ち分かった?」と尋ね、A君はうなずきました。A君は担任が指導すると落ち込んで固まってしまいます。さらにピア係さんは、B君に「嫌なときは言わないと分からないよ。これから言える?」と言いました。C君は、ただ走りたくて走っていたらしいので「一緒に外でリレーの練習をしようよ。いっぱい走れるよ」と声を掛け、C君もうなずきました。C君にはADHDの気質があります。

訴えてきた子にも「安心した?」と声をかけ、みんなニコニコ席に着きました。教師の指導ではこのようにはいきません。ピア係の対応の素晴らしさに感動しました。

■中学校のエピソード(1)=1年生担任

ピア・サポート講座の翌日、1年生のある教室で、生徒2人が口論になりました。担任が止めに入ろうとしたら「ちょっと待って! どうしたの?」と、前日のピア・サポート講座を受けた2人の生徒が止めに入りました。「今、けんかになってたけど、どうしたの?」「○○君は〜で怒っていたんだね」「逆に△△君は~が嫌で怒っていたんだね」とお互いの事情を聞き、それぞれの言い分を伝えました。

最終的には、お互い納得し、謝罪して口論は収まりました。ピア・サポート講座を受けた2人が、高校生の見本を見よう見まねで行い、見事にけんかの仲裁をやってのけたのでした。「どっちが悪いわけではなく、こうやってお互い言えれば良かったね」と級友に話す姿を見て、ピア・サポートの効果と重要性を感じました。

■中学校のエピソード(2)=主幹教諭

体育祭の縦割りの結団式で、今までは3年生の各団長が下級生に「勝つための思いや練習の指示を伝える」のが主でした。でも今年は違います。各団ともピア・サポートワークを取り入れ、コミュニケーションづくりに取り組んでいるのです。じゃんけん列車をしたり、小グループで輪になって談笑したりする姿がありました。私が赴任した5年前にはなかった光景です。これは学校が実践しているピア・サポートそのものでした。

あなたへのお薦め

 
特集