【連載】今なぜ?ピア・サポートか 12 生き方を学ぶ場ともなった

静岡県立浜松江之島高校教諭 山口権治

 

■高校生のエピソード(2)=浜松市発達相談支援センター所長

高校生が、発達障害のある児童の余暇イベントで共に活動してきた中での変容です。障害の可能性のある児童生徒への関わりは、大人でも躊躇する活動だと思いますが、静岡県立浜松江之島高校の生徒たちはそうした気後れなく、子供たちと接していました。これは日頃ピア・サポートのトレーニングを受けているので、「人間関係での葛藤が生じても何とかなる」という自信が背景にあるからと思われます。

笑顔を引き出すピア・サポートのトレーニング
笑顔を引き出すピア・サポートのトレーニング

■小学生の感想=5、6年生

▽なぜだかすごくすっきりして笑顔になれた▽友達と仲良くするのに、こんな楽しい方法があったことを知って驚いた▽いろんな人とかかわれて話ができうれしかった▽一人ひとり意見が違っていて、それを理解し尊重し合うことはとても大切だと思った▽最初は上手に話せるか不安だったけど、同じグループの人たちが和ませてくれたので緊張がなくなって、とても楽しかったです!

■中学生の感想

▽僕らの生き方にもつながる大切な学びの場だと感じた▽学校生活を送るうえでとても重要なことなので、ずっと活動を続けてもらいたい▽聞き方ひとつで、話す側からすれば話しやすさが全然違った▽家族や友達と話しているときに、笑顔を多く見るようになった▽うなずいたり、目を合わせてくれたりすると、うれしかった。

■小学校教員の感想

▽ピア係を設置し、自分たちの問題は自分たちで解決しようという気持ちが生まれた▽聞いてもらえる、人と関わる楽しさを感じることができた▽高校生が活動の中で優しく声をかけてくれることで「よきモデル」としての態度が子供たちにも伝わり、その姿を真似してみればよいと気づき、取り込むことができた。

■中学校教員の感想

▽ピア・サポートを通じて生徒同士が互いの話を聞く意識が高まっている▽相手が自分を信頼して話ができるようにするためにはどうすればよいかを学ぶことができ、「相手の目を見る」「うなずいて聞く」を意識して仲間の話を聞くことができるように変化している▽生徒間だけでなく、生徒と教師の間にも有効。教師が聴くのを大切にすることで、生徒に安心感が生まれ、信頼関係が築かれていく感じがします。

◇  ◇  ◇

いまは縦(異年齢)の関係が少なくなって、同級生だけの関係になっています。ピア・サポートでは、この関係をうまく活用します。年少は年長に世話されることによって人を頼ったり、安心したりします。年長は年少の世話をすることによって「自分は役に立っている」という社会的有用感が持てたり、ロールモデルにならなければという責任感が生まれます。

人間関係力を作るのはテクニックではなく、人に関わるのは面白い、楽しいという人に関わるときの自然な感情を持たなければなりません。これがよいコミュニケーションの前提になります。この経験を通じて、人間関係を取り結ぶ力が内から湧き立ってくるのです。

ピア・サポートは、そういう力に着目しています。

ピア・サポート活動によって豊かな情緒交流が生まれ、それが子供の健康で安定的なパーソナリティー形成につながるのではないかと考えます。

(おわり)

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