【連載】アクティブ・ラーニングとICT活用 ① キーワードは「主体性」

福島県平田村立蓬田小学校でiPadを活用したワークショップ
福島県平田村立蓬田小学校でiPadを活用したワークショップ

文教大学教授 今田晃一

 

“主体的・対話的で深い学びの実現”。これが現時点における最新のアクティブ・ラーニングの定義である(次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめのポイント)。

それまでは「課題の発見および解決に向けた主体的・協働的な学び」がその定義とされ、学校現場では主体的・協働的・創造的な学びをそのイメージとして、多くの実践が試行されてきた。これはもちろん正しい方向性ではあるが、総合的な学習の時間として取り組めばよい、という狭い解釈の定着をいささか危惧したのか、今回は「対話的な深い学び」を強調したものとなった。

これは、一斉授業の中で短時間でも対話の時間を設けるなど、学校教育の中で日常的にさまざまなアクティブ・ラーニングを奨励したものと捉えたい。

一方、ICTについても、「教育におけるICTの活用は、子供たちの学習への興味・関心を高め、分かりやすい授業や子供たちの主体的・協働的な学び(いわゆる「アクティブ・ラーニング」) を実現する上で効果的であり、確かな学力の育成に資するものです」とその有用性を示している(平成26年、文部科学白書第11章)。ただ、改めて審議のまとめを読み直してみても、次期学習指導要領でキーワードとなるのは、一言で表せば、やはり「主体性」である。

イヴァン・イリイチは『脱学校の社会』の中で、学校制度が始まった初期のころは、学びたいという学習者の主体的な気持ちと教えたいという指導者の思いがうまくかみ合い、機能する状態が続く。ところが、制度が熟してくると、指導者は教える気持ちがより強くなり、いささか強引に教えようとする。それに対して学習者は、無理に学ばされる場面が徐々に増え、受け身となり、段々と主体的に学ぶという姿勢を失っていく。そのため学校は、常にその在り方を見直し、学習者の内発的動機を重視した制度、方法に改善すべきである。

これが「脱学校論」のだいたいの骨子であり、今回の改訂は大学入試改革とも関連し、ちょうどその変革の時期と考えられる。

アクティブ・ラーニングにはさまざまな定義があるが、本連載では、学習者に上記のような主体性、協働性、創造性などを喚起することができるすべての授業形式(アクティブ・ラーニング型授業)とする。できるだけ多くの実践事例を紹介しながら、アクティブ・ラーニングおよびそれを促進するICT活用の留意点を述べていきたい。

(参考図書=溝上慎一 『アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換』東信堂(2014)。イヴァン・イリッチ『脱学校の社会』東京創元社(1977))

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