【連載】教師のためのセルフコーチング 7 ゴール到達の手立て(2)

京都文教大学准教授 大前暁政

 

ポイントの二つ目は、ゴールの設定にあります。

困難な時ほど、小さなゴールを設定してしまいがちです。しかし、それは間違いです。

例えば、何らかのスポーツを指導しているとして、そのスポーツの集団に、問題児やあまりやる気のない人たちが入部してきたとしましょう。これは、指導教員からすれば、かなり困難な状況です。今までは、運動ができる子や真面目な子が入ってきていたのに、今年は、まったく反対だったわけです。

こういったとき、人は、悲観的に考え、ゴールを狭めてしまいがちです。すなわち、今年は人材に恵まれていないので、地区でベスト4ぐらいでよいことにしよう、などと考えてしまうのです。このことは、セルフコーチングを学んでいないと、普通にやってしまうことです。確かに、「集団に問題がある」→「ゴールを小さくしよう」というのは、自然な考え方です。

しかし、これではまずいのです。なぜなら、「特別な努力を放棄すること」につながっているからです。特段、教師も子供たちも、努力をせずに、スポーツに取り組んでしまうことになります。その結果、地区でベスト4にも入れない状態になってしまうのです。

そうではなく、今の現状から考えると無理だと思えるような、レベルの高いゴールに設定すべきです。無理だと思えるからこそ、努力が促されます。教師も努力をしなくてはなりませんし、子供も努力をしなくてはなりません。

ただし、そのゴールは、「望むもの」でなくてはなりません。 つまり、子供たちが、「こんなゴールに到達したいな」と思えるようなものである必要があります。「望むゴール」でないと、教師からのやらされ仕事になり、努力が長続きしないからです。

そこで、子供たちにゴールを確認しなくてはなりません。「君たちは、この部活で、どれぐらいの成績を残すことを目指しますか?」優勝を目指すと答えたなら、優勝を成し遂げるために、教師もまたサポートしなくてはならないのです。子供たちは、自分が望んだゴールに向かって、進んで挑戦します。教師もまた、集団の質が違う分だけ、今までの指導よりも、さらに力を入れて指導をするようになります。

教師の自発的な努力と、子供たちの自発的な努力の、両方が合わさると、相乗効果が生まれます。すると、本当にその高いゴールに到達できるのです。

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