【連載】飯田稔のすばらしき教員人生 101 学習指導案の吟味

■「精略」二つの指導案

赴任したころは校内では最若輩。でも28年間勤務するうちに、校務分業でいくつもの主任の仕事を重ねてきた。学年主任、教科主任を引き受けたのは30歳代。研究部長(研究主任)の重責を担ったのは40歳代。この役どころは教員養成大学附属校では最重要の役割。続いて教務主任から副校長(国立学校設置法施行規則による)となったので、いつしか学校の仕事のほとんどを承知した。これは貴重だ。

ところで、筆者が勤務していた学校は、毎年6月に公開研究会を開く。2日間開催の各日とも公開授業各1時間。精案1枚と略案1枚の指導案を仕上げる。この指導集吟味が校内で行われるのが、ゴールデン・ウイークのころだ。

■これは厳しい

指導案については全構想に始まり、一字一句が吟味の対象。「要再考」「書き直し」と言われれば、その通りにしなければならない。いつの間にか吟味を受ける側から吟味する側になったものの、緊張の度合いが変わることなどない。

言葉の間違い、文の用例を調べるため、同僚は誰もが(1)国語辞典(2)用字便覧を常備していた。「国語辞典を貸して」などという人は笑い者にされた雰囲気である。もっとも(1)(2)を揃えれば指導案は書けるなどと思わないこと。日頃からの教科教育論、教材研究、文章表現力が問題なのだ。文章表現力は読書量によるだろう。本を読まない手合いに文は書けないから。

■記者ハンドブックも

筆者が用意した国語辞典(卓上版)は岩波書店発行。どれほど重宝したことか。用字便覧は小桜書房発行を使ったが、使い古してしまった。用字必携が角川書店から出たので買い直した。そして「記者ハンドブック」(新聞用字用語集)を併用した。これは共同通信社から出たもので、時事通信や朝日新聞からも同様のものが出版されている。やはり重宝した。

こうしたものの用意は、職場の慣行とでもいえるものであった。あの学校の教員文化といってもいいだろう。でも、それはどんどん崩れてしまっているようだ。パソコンで用は足りると語る人もいるのだから……。

(元公立小学校長、千葉経済大学短期大学部名誉教授)

あなたへのお薦め

 
特集