【連載】特別支援教育の根本 17 重複障害の特別支援教育

(学)大出学園支援学校若葉高等学園理事 清野佶成

 

重複障害の児童生徒は、平成18年度文科省調査時点でも、特別支援学校の小・中学部に42.8%(肢体不自由の特別支援学校では75.4%)在籍していた。障害は重度・重複・多様化している。

昭和50年の「重度・重複障害児に対する学校教育の在り方について(報告)」では、重度・重複障害児を、学校教育法施行規則第22条の2に規定する障害(盲・聾・精神薄弱・肢体不自由・病弱)を2つ以上合わせて有する者。加えて、発達的側面から、精神発達の遅れが著しく、ほとんど言語を持たず、自他の意思の交換および環境への適応が著しく困難であって、日常生活で常時介護を必要とする程度の者。行動的側面から、「破壊的行動、多動傾向、異常な習慣、自傷行為、自閉性、その他の問題行動が著しく、常時介護を必要とする程度の者」と捉えている。(平成11年に「精神薄弱」は「知的障害」に用語変更)さらに、平成19年に「特別支援教育」が学校教育法に位置づけられ、全学校で障害のある生徒児童の自立や社会参加を図る教育が行われるようになった。これは小・中学校に在学していた学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、高機能自閉症などの軽度発達障害の児童生徒への対応と障害児(者)の重度・重複化への対応が大きな目的だった。

文科省は平成19年にLD、ADHD、高機能自閉症等を「発達障害」と表記し、「軽度発達障害」の表記は範囲が必ずしも明確でない等の理由から原則使用しないとした。ともすると特別支援教育が、発達障害児(者)が小・中学校の普通学級に在籍している点に関心がいって対応が求められた。しかし医学の進歩に伴い、特に新生児医療や救命救急技術の進歩で、障害が重く重複している児童生徒が、特別支援学校等に医学的支援等を受けながら多く教育を受けられるようになっていることが、重要な特別支援教育の視点である。

特別支援学校小学部・中学部学習指導要領総則第2節第4の2の(2)で、重複障害児とは「複数の種類の障害を併せ有する児童又は生徒」としている。特別支援学校制度の前には、2つ以上の障害がある児童生徒の場合、就学相談で、どの学校で教育を受けるのがよいか等が問題となっていた。特別支援学校になり、視覚、聴覚、知的等複数の障害のそれぞれに対応した専門の教育部門を持つことができるようになった。各設置者である地方公共団体等は地域における障害児(者)の実態や教育ニーズなど、各地域の実情を考慮して判断して設置するとなっている。

重複障害児(者)の教育の場は、第一に特別支援学校で単一の障害児(者)と一緒に。第二に特別支援学校の重複障害学級。第三は家庭や施設、病院等での訪問教育。

(社福)全国重症心身障害児(者)を守る会サイトには「福祉では重症心身障害児(者)という名称がある。これは児童福祉での行政上の措置を行うための定義(呼び方)である」とある。児童福祉法第7条第2項では「重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複している児童」を「重症心身障害児(者)」と規定している。重症心身障害児(者)は、病院、施設、家庭等で医療的ケア等を受けながら教育を受けている場合が多い。現在、重症心身障害児(者)の人数は全国に4万3千人と推定されている。

重複障害児(者)の教育は、個々の実態に応じて弾力的に教育課程を編成し、指導支援がなされることが求められる。また指導者の強い専門性が必要で、教員のほか医師、看護婦、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護福祉士等の援助と連携が必須である。

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