【連載】いつからいつまで特別支援 第16回「個別指導計画」誕生秘話(その⑥)

臨床心理学士 池田敬史

 

3カ年を費やした「個別指導計画」のアクションプログラムは平成9年2月に、東京都教育委員会から「障害のある児童・生徒のための個別指導計画Q&A」として刊行されました。当時、都教委の刊行物は単色の黄、青、黄緑などの表紙と指導資料集は一定の書式が決められていました。私たちは、新しいアクションにふさわしい冊子にするために、学校現場の教師の皆さんが思わず手に取ってみたくなるような斬新なデザインを予算の範囲内の可能な限りで、印刷業者と知恵を絞って考えました。

序章の「21世紀を担う児童・生徒『一人一人』の『生きる力』をはぐくむために今世紀中に個別指導計画の整備を」は、私が執筆しました。改めて全文を紹介します。

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1878年(明治11年)京都に盲唖院が、1891年(明治24年)には、最初の精神薄弱施設で後に滝野川学園となる孤女学院が創立され、日本における障害児・者の施策が開始されました。およそ100年前のことです。その後の今日までの心身障害教育の発展・充実については、いまさら述べるまでもないと思います。現在の心身障害教育の基盤は、今世紀に確立されたといっても過言ではないでしょう。この教育は、言うまでもなく、一人一人の障害の状態や発達段階に即して、個人別に計画されるべきであるという基本理念は、私たちの先輩がかなり以前より、提言していたという事実があります。

昭和3年の西久保奈良石著『劣等児教育の実践研究』では、劣等児教育の四大方法の第一に個別指導が挙げられています。また、大庭伊兵衛氏は昭和27年に著書『特殊学級—異常児とその指導』の中で、個別指導の原則を唱え、「教師は常住学級において個々の児童について個別指導の計画と機会を持たなくてはならない」と記しています。私たちは、この教育における個別指導の大切さを認識しつつ、一人一人の障害や発達に応じて、診断を行い、個に即した教育を展開してきました。それを個別指導計画として、組織的なシステムにまで向上させ、整備するという課題については、1世紀を経てまだまだ努力が足りなかったことを率直に反省したいと思います。

21世紀を目前にして、この教育の20世紀の財産を継承し、再度、先輩諸氏が理想を描いた、真に「個に応じた教育のために、個別指導計画を中核とすることを提言します。

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