【連載】アクティブ・ラーニングとICT活用 ② デジタルネイティブ世代

ファシリテーターの資質も大学生の特性
ファシリテーターの資質も大学生の特性

文教大学教授 今田晃一

 

教員による一方的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称としてのアクティブ・ラーニングは、大学から始まった(「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」平成24年8月28日、中央教育審議会)。学生に何を教えたではなく、学生が何をできるようになったのかが大学の教育力として大いに問われることとなり、アクティブ・ラーニングの実践は、大学における緊要性のある課題となった。

そこで筆者は、まずはゼミ単位(例年3・4年生で約20人)でアクティブ・ラーニングに取り組むこととした。その際に最も重視したのは、学生の特性、良さである。学習者の良さを生かすのは、能動的な学習の前提であり、日常的にスマートフォンを使いこなすデジタルネイティブである点が、この世代の特徴である。

橋元良明氏(東京大学大学院教授)は、現在20歳前後の1996年頃に生まれた人たちを、「96世代のデジタルネイティブ世代」と呼び、モバイルネットをべースに情報を縦横無尽に駆使してコミュニケーションを図る。社会との調和、他人との調和を重んじる傾向があり、社会への信頼は厚く、チームワーク力が他の世代より優れている。そして動画を自由に操り、言葉より、映像・音楽。映像優先脳に切り替わっている点が最も大きな特徴としている。

以上のような大学生の特性を生かし、福島県石川郡のICT活用の教員研修における特別授業の講師を学生が務めるというアクティブ・ラーニングに取り組んだ(平成25年12月25日:教職員参加者約50人)。この授業は、3人1組の4年生児童グループに対してiPadを活用した協働学習のさまざまな形を学生が提案するものである。学生はそれぞれ1つのグループに1人ずつついて、映像を活用した自作のiPad用デジタル教材などを駆使し、90分間ファシリテーター役(これからの教員に求められる役割)を務めた。その評価は高く、当日の福島中央テレビのニュース番組でも好意的に放映された。

この実践に向けた学生の準備は、まさに主体的、協働的、創造的なものであった。自分たちが教員研修の講師役というプレッシャーはあるものの、デジタル面においては提案したいアイデアが多数ある、というデジタルネイティブ世代の特性がプライドとなり、能動的な学びとなった。中央教育審議会では、これからの児童生徒や新しい教員に求められる資質・能力を示しているが、これらは育てるものではなく、元々その世代がもっている良さや特性であり、それを引き出すのが教員の仕事であり、その最も有効な方法がアクティブ・ラーニングであると本実践を通して実感した。

(参考図書=橋元良明『日本人の情報行動2010』東京大学出版会)

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