ユニバーサルデザインで授業を改善 東三鷹学園が小中一貫教育の研究会

焦点化・視覚化・共有化を視点に

UD(ユニバーサルデザイン)の視点を取り入れた授業づくりと工夫で10月21日、研究発表会が東京都三鷹市の東三鷹学園の同市立第六中学校(郡吉範校長、生徒数543人)で行われた。「学力、人間力、社会力を育む小中一貫教育」を主題に、同学園を形成する市立の第一と北野の両小学校も実践を公開した。

第一小学校4年1組は、社会科の単元「郷土の発展につくす」を公開。同市内を流れる玉川上水が学習テーマ。上水工事に携わった玉川兄弟の工夫や努力、地域の人々の生活の変化や思いについて探究し、先人の働きや苦心に理解を深めるのを目指した。

UDを視点とした授業改善では、▽焦点化▽視覚化▽共有化——の3視点を重視した。

指導者した若林亜希子教諭は導入で、児童が玉川上水の基礎理解を深め、工事への興味関心を高める教材提示を工夫した。ICTと地図教材を効果的に活用。大型テレビに東京都の白地図と3つの河川の流れを表示し、正しい上水を予想させた。立体地図を使って上水の流れを地形と合わせてつかむ作業も織り交ぜた。同教諭が上水を複数の地点から撮影した写真も提示。児童に身近な上水の存在を改めて意識させようとした。

工事を担った「玉川兄弟の像」の写真も提示。兄弟の服装や髪型から江戸時代の人だと発見させた。その上で、同教諭は、上水工事の驚異的な期間、金額、当時の背景などを効果的な比較データを通じて問い、解説した。

上水完成の同時期に完了した利根川の東遷工事期間は約60年。それに対して、玉川上水の工事はどのくらいかかったかと児童に問うた。児童の多くは利根川工事と同じ60年、短くても30年くらいと回答。それが約8カ月間で完了の事実を聞いて驚いていた。

続いて同教諭は、上水の工事費用は6千両で、現在の価値にすれば5億円の巨費が投入された点なども話した。

1602年の江戸幕府開府当時と1644年の上水工事着工ごろの江戸の町の様子や人口推移を示した図も比較した。児童は、両図から町の人口と規模が拡大している点、江戸城周辺は海で飲料水の確保が困難な点に理解を深めた。

厳選した提示資料の比較と吟味を通して、児童に、上水を作る理由や背景を分かりやすく理解させていた。

児童は、次々に明らかになった事実の積み重ねから、地域を流れる身近な上水への探究心をかき立てた。

そこで、各自が上水について「もっと知りたい点」を付箋に記述させ、グループ間で意見を共有し、共通の探究課題を設定した。各グループでは、工事に関する費用、使用した工具などのテーマが掲げられ、今後の追究テーマになった。

UDの視点を生かした授業改善の焦点化では、各教科単元、各時間の学習問題や目標を絞り込み明確化。視覚化では、授業展開の分かりやすい見通しを大事にしたり、児童生徒の思考の手掛かりになる手立ての工夫を重視したりした。

共有化では、仲間からの学びを通して考えを深化する学び合いを配慮した。

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