【連載】飯田稔のすばらしき教員人生 102 新書版も学校で買うのか

■先月読んだ新書版

先月は、新書版を2冊読んだ。(1)は、『日本の一文 30選』(中村明、岩波新書)。馬齢を重ねて八十路になっても、「いい文を書きたい」と当コラム欄筆者は願っている。それが、(1)を選んだ理由。筆者の文章力は毎月ご覧いただいている通り。恥ずかしいかぎり。

(2)は、『給食費未納』(鳫(がん)咲子、光文社新書)だ。子供の貧困と食生活格差を突いている一冊。これは、読ませる。データが豊富で、「払わないのか」「払えないのか」「払わなければ食べさせないでいいか」を斬る。そして、学校給食の今後も展望する。教師が読んでおきたい本だと思う。

■「学校で買ってください」

新書版で、思い出すことがある。昼休み「この新書、読んでおくといいよ」と、教員の本を見せながら紹介。30歳代の女教師が、「その本を、学校で買ってください。そうすれば、読みますから…」と、筆者(校長)に言ってきた。自分で本を買う習慣がないのか。

筆者の答えは簡単、「学校で、新書版を買うつもりはない」「紹介した本は、読まなくていいです。新書版は、ポケットマネーで買うものだと思うよ」と語り聞かせた。
これが30歳代教師か、と思ったのは事実だし、教職の現実を知ったことも事実。教職10年を、どう過ごしてきたのだろう。もしかすると、学校で買ってもらった新書を、朝読あさどくの時間にでも読むつもりでいたか。

■新書一冊に1カ月

その日の退勤時、その女教師に筆者はすでに読了していた新書を渡した。「学校では買わないが、僕は読了しているので、これをお貸しします」と言って…。

それから約1カ月。もう忘れたころになって、貸した新書が返ってきた。余計なことだが、新書一冊を1カ月かけて読んだのである。この読書速度にもびっくり。教師生活の忙しさを感じたのだが、これでは、”学ぶ教師”や”同僚性””チーム学校”もキャッチフレーズ倒れになるのではないか、と今にして思うのだがいかがなものだろう。

でも、1カ月かけてもいい。読まない人より、読む人のほうが貴重なのだから…。

(元公立小学校長、千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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