【連載】ダウンしないため / してしまったら 5 心が折れそうなとき

公立学校共済組合近畿中央病院メンタルヘルスケア・センター
副センター長 井上麻紀

 

素直になれる人のところに

教員の心が折れるのは、やってもやっても感謝されるどころか、できていない点を否定されたり、孤独を感じたりするときが多いように思います。教員は、対人サービス業で、誰かのお役に立ちたい思いのある誠実な方が多いですから、”お役に立っている”実感があったり、ねぎらわれていたり、大変な状況を一緒に乗り切ろうとしている仲間や管理職がいるとの実感があったりすれば、むしろ生き生きしている方もおられます。

心は、動いていないと、折れるように感じます。心が動くとは、▽日常のいろいろで気持ちが自由に動く(できれば表現できる)▽受け止められてほっとする——です。多くの人は、誰かに気持ちを話し、「そうだね」「それでいいんじゃないかな」「あなたは十分に頑張っている」と受け止めてもらわないと、心が動きにくくなってしまいます。

小さな子供が泣いて親のもとに来たとき、どんな対応をしてもらうと落ち着くでしょうか。見ると、ひざから血が出ていて、擦りむいています。親「どうしたの?」(抱きとめる)「痛かったね」子「○○ちゃんに、押されたの」親「押されて嫌だったね」子「(ひとしきり泣く)」親(トントンしながら)「傷の手当てしようね。もう大丈夫だよ」子「ほんとはね、ぼくがいじわるしたから、○○ちゃんが怒って押したかもしれない」親「そうやったの。○○ちゃんも、くちで言えばいいのにね。でも、あなたは、お母さんにちゃんと言えてえらいね」子「えらくない…遊ぶとき、ぼくをいれてくれないから、いじわるしちゃった」親「そうだったの」子「どうしようかな、明日から遊べるかな。いじわる、謝ろうかな」

自分が、素直になれる人のところに、自分を連れていきましょう。自分も、少しだけ勇気を出して、話をしてみましょう。あなたが聴く側になったときには、さっきのお母さんのように否定せず聴けたら、相手が素直になれるかもしれません。

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