【連載】新たな教育への提言 第7回 ソーシャルキャピタルの拡張

(株)THINKERS代表取締役 山内学

 

19世紀にジョン・デューイによって提唱された「ソーシャルキャピタル」。その概念が、21世紀に登場したSNSによって拡張されようとしている。

はじめに、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)とは、「人々の協調行動を活発にすることによって、社会の効率性を高めることのできる、信頼・規範・ネットワークといった社会組織の特徴」である(パットナム、1993)。

ソーシャルキャピタルを教育に当てはめてみる。地域活動などの社会連携プログラムを実施している学校の生徒などは、その向上が期待できるだろう。ただ、どうしても地域性に縛られるので、身近に興味関心を同じくする人が見つからなければ、その分野のソーシャルキャピタルは広がっていかない。そこを解決するのがインターネットだ。この点は後で述べる。

他方、ヒューマンキャピタル(人的資本)は、「教育によってもたらされるスキル・資質・知識のストックを表す個人の属性」とされる。教科指導に代表される現在の教育システムは、ヒューマンキャピタルの向上に寄与してきたといえるが、ソーシャルキャピタルにおいてはどうだろうか。

入試を例に挙げてみる。一般入試は、あくまで個人の知識・スキル(ヒューマンキャピタル)を測るものとなっている。それに対して、AO・推薦入試は、ソーシャルキャピタルも含めた評価をすることで、結果的に「協調行動を活発にすることによって、社会の効率性を高め」ようとしていると見受けられる。これからの社会を考えると、こうしたソーシャルキャピタルとヒューマンキャピタルの相乗的な向上が求められるだろう。

さて、インターネットは、いかにしてソーシャルキャピタルを拡張させるのだろうか。その前に、選抜性の高い大学の価値について考えたい。もちろん、研究レベルの高さや教育施設・教授陣の充実などもあるだろう。それに加え、大学が持ちうる信用やネットワークといったソーシャルキャピタルが挙げられる。

確かに、大学に入ればこうしたソーシャルキャピタルにアクセスしやすくなる。それが受験勉強のインセンティブの1つにもなっているだろう。ただ、そうしたソーシャルキャピタルにアクセスできない児童生徒は、どういう状況に置かれているだろうか。地域環境、学校環境、家庭環境など、さまざまな違いがある。それは個性でもあるし、格差でもある。

どのような環境でも、ネットにつながる端末1つあれば、同じ興味関心を持つ同世代の子やその分野に精通した大人とコミュニケーションを取れるのが、SNSの魅力だ。そこで醸成されるコミュニティはまさにソーシャルキャピタルであり、その中での発言・活動が「信頼」を作り、コミュニティの「規範」が生まれ、「ネットワーク」となっていく。これらは、いずれ社会に還元されるだろう。

こうした場は、特に地方の大学や企業にとってはチャンスである。地元以外の学生ともコミュニケーションが取れるからだ。教育内容や地域の魅力に引かれて若い人が来てくれるかもしれない。それは、その地域のソーシャルキャピタルを向上させることにもつながる。

最後に、THINKERSは、ソーシャルキャピタルを拡張すべく運営している点を触れておきたい。

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