【連載】教育のユニバーサルデザインにチャレンジ 31 授業で育てるソーシャルスキル 2

星槎大学大学院教育学研究科准教授、日本授業UD学会湘南支部顧問 阿部利彦

 

先月号では「授業で間違えた友達の立場に立って考えてみる」という他者視点の重要性について触れましたが、この視点を深めていくことは「共感」につながっていきます。共感が広がるクラスでは、誰かが間違えたときに「確かにここ難しいよな」「この前、私も苦戦したところだ」「この部分を勘違いしたのかな」とその子の立場を想像することができるわけです。

このようなクラスでは誰もが「分からない」「できない」を表明しやすくなるでしょう。

クラスの仲間に共通点が多いほど共感が広がりやすくなるといわれています。学習場面で、友達の意見と自分の意見の共通点を見つけるプロセスは、まさに共感性を深めることにつながるのです。

よく算数の授業などで、Aさん「私は図を使って~しました」先生「どうですか?」児童たち「いいでーす」。Bさん「ぼくは小数に直してから~してみました」先生「どうですか?」児童「いいでーす」。Cさん「分数を使って式を~するやり方です」先生「どうですか?」児童「いいでーす」といった場面を見かけます。

しかし、これは本当に「同意している」「他の子のやり方に共感している」のでしょうか。友達の説明が本当は分っていないのに「いいです」と言っている子も中にはいるのではないでしょうか。このやり取りはただの「パターン化」であり、子供たちは「いいです」とただ言わされているだけです。

このようなパターン化を避ける工夫が必要となります。例えば、ペア活動として、Aさんが説明した方法を各ペアで試してみるのです。その後、ペアで気づいたことをまとめていきます。このような活動を通じて、Aさんの、あるいはペアの相手の考えを自分のことと「むすびつけて」考え、付け足したり、広げたりできる力が育つのです。

自分の考えを言うときに、子供たちが「○○さんに付け足しで~」「○○さんと似ていて〜」「きっと〇〇さんは〜」「○○さんに言われて気付いたんだけど〜」など友達の意見とを「むすびつける言葉」を使うことがあります。このような言葉が出てきたときに、教師はその内容だけでなく、その言い方も褒め、強化していくとよいでしょう。このような取り組みによって子供たちは、クラスの仲間との共通点を見つけることの大切さを学んでいくのです。
 
このように育まれた「共感」は仲間意識を育て、「私たち、ぼくたちはOKなのだ」「我々はなかなかいい仲間である」という感覚、「集団肯定感」「学級肯定感」を育てることができます。

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