【連載】若手教師講座 授業づくり・学校づくり 第6回 授業づくり・学級づくりの基礎基本⑥

監修 (一財)総合初等教育研究所 梶井 貢
担当 東京都練馬区立仲町小学校 嵐 元秀
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学習意欲の高め方がよく分からない

○理解を深め、動き出させるために
○学習意欲を具体的にどう高めるか

1年の半分が過ぎたこの時期、じっくりと学習に取り組ませたいと思っても、行事の準備などで時間が取られてしまい、落ち着かない日々が続いているという学級も多いのではないでしょうか。1学期のような緊張感はなく、子供たちがのびのびと活動するようになるこの時期は、学習意欲の強い子となかなかやる気の出ない子の差が大きくなりがちでもあります。どうすれば子供たちが意欲的に学習するようになるのでしょうか。

▽教師の発問や指示を理解しない子供たちへの指導は。
▽ぼうっとする子、おしゃべりする子への対応は。
ケース1

授業中に、発問をしたり、活動の指示を出したりしても、なかなか動き出さない児童がいます。学習に対するやる気が高まって、すぐに動き出せるようにするには、どうしたらよいでしょうか。

対策1

分かりやすさが学習意欲を高める基本

子供の動きが鈍いのは、どんなときでしょうか。発問への答えを考え出したり、目的に応じて活動したりするための学力が身に付いていないときや、学習意欲がないときなど、さまざまな場合が考えられますが、ここでは、何をすべきかを理解できていないケースを考えてみましょう。

別のことに気を取られていて、教師の指示を聞いていなかった。あるいは、聞いてはいたけれど、教師の意図が理解できない。こういうタイプの子は、「わかりません」と素直に言わない場合も多いので、教師が気づかないことも多いものです。

(1)話を聞く態度の指導

まずは、話を聞く態度を指導します。教師の話を聞いていないのでは、活動ができません。若手の授業を見ると、児童がおしゃべりをしているのに、指示を出している場合があります。これでは、学習に取り組めません。学級が荒れていく原因になります。教師は、教室全体を視野に入れ、児童全員が話を聞く態度をとってから、発問や指示を出すようにします。児童の誰かが「静かにしようよ」とクラスに声をかけてくれたら、「○○さん、ありがとう」と称賛します。いつもしゃべっている子が静かに待てていたら、「○○さん、今日の態度は立派だね」と伝えます。

(2)教師の話し方や指示の改善

しかし、児童が話を聞いていても、教師の意図が理解できなくて、学習に取り組めない場合もあります。そんなときは、教師の話し方を改善する必要があります。

話し方の基本は、「一時に一事」です。たとえば「教科書の〇ページを開いて、□番の問題をノートにやりましょう」という指示の中には、「教科書の〇ページを開く」「□番の問題を見つける」「ノートに書く」という3つの活動が入っています。この3つをさっとできる子もいますが、ワーキングメモリーの少ない児童は、1つめの教科書を開くところまでしかできないのです。ですから、このような場合は、指示を3つに分ける必要があります。まず「教科書の〇ページを開きます」と伝えます。全員ができたことを確認してから、「□番の問題を見ましょう」と問題を見つけさせます。「どこ?」と言っている子がいたら、「右下の方だよ」などと指示を追加します。その上で、「この問題の式と答えをノートに書きましょう」と最後の指示を出します。手順を細分化することで、どの子も分かる、どの子もできる授業になっていくのです。

複数の指示を一度にしなければならないときには、「まず」「次に」と接続語を使って話すと分かりやすくなりますが、「ナンバリング」を使うとさらに理解しやすくなります。「これから3つのことをします。1つめは〜」というように、具体的に数を示しながら話すのです。聞く側は見通しをもって聞くことができて、記憶にも残りやすくなります。

そして、「視覚化」も重要です。黒板に活動の順番を書いておけば、話を聞く力の弱い子でも、一目瞭然。自分の力で学習を進めることができます。教師の日常的な指導方法を改善するだけで、子供の学習意欲は高まっていきます。できることから取り組んでみてください。

ケース2

普段の授業は、教科書の指導書を参考にしながら、進めています。けれども、課題を出しても、学習に取り組まずにぼうっとしている子や、すぐにおしゃべりを始める子もいます。どうすれば、子供たちの学習意欲が高まるでしょうか。

対策2

授業に「楽しさ」をプラスして学習意欲を高めよう

学習意欲に課題がある子には、授業で出す問題や課題、学習内容や活動を楽しいものにしていくと、意欲が高まっていきます。


(1)算数での課題提示やネーミングの工夫

4年生「わり算の筆算」では、86÷23、78÷19を学習した次時に87÷25を学習します。23で割るときには、小さくして20としてみる、19でわるときは大きくして20として計算するといいと学んだ後の時間です。87÷25をそのまま提示したら、算数を好きではない子は「またわり算か」とやる気が高まりません。けれども、1の位を隠して87÷2□と出したらどうでしょうか。「今日の問題です。□の中には何が入るでしょう」と考えさせると、子供たちが前のめりになってきます。このときは「今までと同じ問題が出るわけがないから、一の位は0から9の真ん中の5だ」と考えてくれる子がいました。こうした少しの工夫でも、子供の主体性を高めることができます。特に、一部を隠して提示する方法は、他の教科でも有効です。

%e8%8b%a5%e6%89%8b%e6%95%99%e5%b8%ab%e8%ac%9b%e5%ba%a7算数では「問題を解くために、どのように考えたか」が重要です。右の写真は、子供たちに自力解決させた後に、考え方を全体で話し合う場面です。子供たちと話し合いながら、「小さくする作戦」など計算方法に作戦名を付けました。このように「ネーミング」を考えることも、授業に参加する意欲や思考力を高めます。

(2)社会科での調べる意欲づけの工夫

5年生「情報を伝える人々」の「調べる」段階では、テレビのニュース番組がどのように作られているのかを調べます。配当時間は1時間だけなので、ゆっくりじっくりと調べるわけにはいきませんから、教科書や資料集を読んでまとめるだけになってしまいがちです。けれども、この時間の課題「テレビで放送されるニュース番組は、どのようにつくられているのだろう」を示した後に、「これからニュース番組を5分間見せます。どのような人たちが番組を作っているでしょうか」と発問して、実際にニュース番組を見せると、全員の調べる意欲を高めることができます。

「アナウンサー」「取材する人」「カメラマン」「リポーター」「音楽を流す人」「テロップを作る人」「映像を編集する人」「照明」「セットを作る大道具の人」。短い時間でも、実際の映像を見ると、その制作には多くの人が関わっていることに気付きます。「ニュース番組作りには、いろいろな人たちが関わっていそうですね。実際は、どのような人たちがどのような働きをしているか、その人たちはどんな工夫をしているのか、調べてみましょう」このように問題意識を高めてから調べる活動に入ると、子供たちは、主体的に教科書や資料集を開くようになります。

今回は授業の入り口、学習の導入の工夫しか紹介できせんでしたが、学習の出口、表現活動を工夫しても、子供の意欲は高まります。さまざまな方法を学んで、教科書通りではない、子供が「楽しい」と感じられる学習活動を工夫していってください。

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人とうまく関われない子への指導

学級には、いつでもどこでもやりたいことをしてしまうジコチュー型の子や、自分の気持ちをうまく伝えられないおとなしい子など、さまざまなタイプの子がいます。どの子も人とうまくかかわれるようにするにはどうすればいいでしょう。

ケース3

自己中心的な行動や言動で毎日周囲に迷惑をかけている子がいます。その都度指導しても、改善していきません。効果的な指導方法を教えてください。

対策3

他者意識を高めがんばりを評価

自己中心的な子どもは、「自分が何をしたいか」が価値観の中心であり、「自分が周りからどう思われているか」を気にすることはわずかです。

(1)大きな声でおしゃべりする子

たとえば、授業中に大きな声でおしゃべりする子は、その行為を周りの児童がどう感じているかを考えることができません。そこで、「○○君の声が大きすぎると思う子?」と聞くと、学級の大部分が手を挙げます。その上で、「○○君が大きな声を出せるのは、小さな声しか出せない人に比べたら大きな長所です。その場面によって、声の大きさを調節できたら、君は無敵です」などと話します。欠点を叱るのではなく、改善すれば長所に変わることを伝えると、教師の指導を受け入れるようになります。

(2)暴力的な子

すぐに手が出るような暴力的な子に、「どうしてたたいたの?」と聞くと、「悪口を言われたから」などと理由を話すことが多いと思います。「理由があっても暴力はいけない」と指導しても、なかなか改善されません。「どうすればよかったのか」が分からないままだからです。この場合は、まず事実確認をします。 「自分が暴力をふるったこと」「相手が悪口を言ったこと」が確認できたら、「悪口を言われた人はみんな、相手をたたいているかな」と聞きます。「そうではない」と答えるはずです。その上で「では、どうすればよかったのかな」と考えさせると、「口で言えばよかった」と答えるでしょう。「次は、そうできるといいね」と期待を伝えてから「○○さんに謝りに行こうか」と話すと、素直に従うことが多いものです。

その後、その子たちが「声の大きさを小さくできるか」「カッとならずに口で言えるか」に注目します。小さな成長を評価すれば、よい行動が強化されていきます。

ケース4

自分からクラスメートに声をかけられなくて、休み時間に一人でいる子がいます。友達が少ないことを悩み始めているようです。どのように指導したらいいでしょうか。

対策4

一緒に遊び子供同士をつなぐ

引っ込み思案な子、自分から声をかけられない子はどのクラスにもいることでしょう。人知れず寂しい思いをしている子も少なくありません。

(1)おとなしい子の交友関係

休み時間に教室に一人でいれば目立ちますが、図書室に行って読書したりしていると、教師も気づかないものです。おとなしくて問題行動がないので、教師の目からこぼれがちです。

「今日の休み時間に何をしていたか」「だれと一緒にいたか」「最近は何をしていることが多いか」などの項目を、アンケート形式で記入させる調査を定期的に行うと、見えにくい子供の行動がつかめます。意外な交友関係を知ることもできます。

(2)教師自ら遊びに誘う

「休み時間に一人でいる子」を把握したら、その子たちを遊びに誘います。中学年までだったら、教師が「一緒に遊ぼう」と声をかけたら、喜ぶ子がほとんどです。他の子にも声をかけて、「どろけい」などのいつでも誰とでもできる遊びを何度か一緒にすると、その後も子供同士で声を掛け合って遊び始めるようになります。

高学年以上になると、教師の誘いに乗ってこない子もいるかもしれません。そんなときは、まずは「何してるの?」と教師が話しかけて近づいてみましょう。読書の話、テレビの話など世間話をしていると、クラスの他の子も関心をもって近づいてくるものです。

クラスの信頼できる子に、「○○さんに声をかけてあげて」と頼むのも、効果的です。ただし、同じタイプの子に頼まないと、遊びが継続できない場合が多いので、注意が必要です。

教師は子どもたちをつなぐきっかけを作るよう心掛けましょう。後は自分たちで友達関係を築いていけることがほとんどです。

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