【連載】アクティブ・ラーニングとICT活用 ④ 学びのイノベーション事業

文教大学教授 今田晃一

 

発達の最近接領域を再考

今回から、学校教育におけるアクティブ・ラーニングとICT活用の留意点について検討する。

次期学習指導要領の方向性について示した、8月26日に出された「これまでの審議のまとめについて(報告)」では、アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善・授業づくりにより、児童生徒の「主体的・対話的で深い学び」を実現することが今後の課題と改めて示した。しかし同報告では、ICTの特性や強みに関する記述は数カ所あるものの、アクティブ・ラーニングとICT活用の具体的な在り方までは述べられていない。

そこで平成23年度から25年度まで行われた文科省「学びのイノベーション事業(26年報告書・全340ページ)」に改めて注目したい。これは総務、文科両省が連携し、1人1台のタブレット端末や電子黒板、無線LANなどが整備された環境下でICTを効果的に活用して子供たちが主体的に学習する「新たな学び」を創造するための実証研究である。ここでいう「新たな学び」を目指した取り組みは、ICTを活用した学習者主体の授業づくりとの視点で、アクティブ・ラーニングと密接な関係が読み取れる。

中でも特に「学習場面に応じたICT活用の類型」は、現在も筆者が大学の授業や教員研修で重視している視点の1つである。これは一斉学習、個別学習、協働学習におけるICT活用場面を10類型に分類したものである。ただICTを活用する場面とポイントを整理したものとして捉えるのではなく、今までの学校教育の中で積み上げられてきた授業方法の良さを認識した上で、ICTを活用してさらに授業改善にどうつながるか。ICT活用で今までできなかった学びがどのように豊かになったかなど、ICT活用の必然性を常に意識し検討する視点としたい。文科省の資料を参考に、筆者が作成し実践しているチェック表を以下に示した。

ICT活用の類型チェック表~活用場面の認知とその対応、留意点~

最重視しているのは、協働学習で1人でできなかったことができるようになった、分かるようになったとの実感(発達の最近接領域)を学習者にもたらす授業デザインである。「学びのイノベーション事業」を再考し、デジタル教材の選び方と提示のタイミング、発問の在り方を再検討しているところである。

参考文献=ヴィゴツキー著・土井捷三・神谷英司訳『発達の最近接領域の理論』三学出版、2003

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