【連載】学級経営の基礎基本 縦糸と横糸のルール 9 SWIM話法でフォロー

元横浜市立小学校教諭 野中信行

 

人を育てるには、褒めるに限る。

このことは、思っているより広がっていない。

先生たちは、「褒める」大事さを学んできているはずだが、意外に自分の実践の中に組み入れていることがない。

「褒める」ことで、子供との「心のつながり」を持つことができる。私が主張している「縦糸・横糸」張りの中で、「横糸を張る」中心のキーワードである。この横糸張り(心のつながり)がうまくできている人は、学級経営が必ずうまくいく。

私は、褒めたり、認めたり、励ましたりすることを「フォロー」と言っている。このフォローがあまりにも少ない現実がある。授業でも、子供たちの活動でも、フォローがなかなかなされない。原因は2つ。
1つ目は、自分なりに持っている「授業法」「活動法」の中に「フォロー」が入っていないこと。例えば、子供たちに「廊下に並びなさい」と指示を出し、子供たちが並んだら、「はい、体育館へ行きます」という声かけだけで連れていく。「素晴らしい。すばやく並べたね。100点満点!」などのフォローがない。この言葉で、子供たちは素早く並ぶ意欲を喚起される。ほとんどの場合、このようにフォローが入っていない。

2つ目は、フォローの言葉も持っていないこと。あまりにも貧弱である。「いいね!」「すごいね!」程度の言葉かけしかない。場面に応じて、ぱっとフォローの言葉が出てこなければいけない。

そこで、私は「SWIM話法」を提起している。

Sは、すごい、すばらしい、さすが、その調子。Wは、うまい、分かる。Iは、いいね。Mは、みごとだね。この程度は、常時声掛けできるようにしたい。

02年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんは、このフォローがきっかけで大科学者になった人である。

小学校5年生のとき、田中少年は理科の授業で、実験をしていた。担任の先生は、机間巡視をしていた。田中少年は、先生に「これどうして、こうなるのですか?」と実験について質問したという。先生はびっくりして「先生にもよく分からない。キミ、すごいね」と褒めたという。このひとことがきっかけで、田中少年は科学志望をめざし、大業績を挙げた。ノーベル賞を受けて帰国すると、空港から担任の先生宅に直行して受賞報告をしたという。フォローの威力はかくも大きいのである。

(田中耕一さんのことについては、『りんごも人生もキズがあるほど甘くなる』(外山滋比古著、幻冬舎)を参考にした)

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