【連載】新たな教育への提言 第8回 生徒から学び合いを求めた

(株)THINKERS代表取締役 山内学

 

私が運営している10代向け教育SNS「THINKERS」で、学び合いをテーマにした投稿があり、盛り上がりを見せている。生徒の側から自主的な学び合いを求めて活動を始めるそうだ。同じ思いを持つ生徒に参加を呼び掛けたいとのことで、現在その相談を受けている。

なぜ、生徒の側から学び合いの行動を起こすのか。そのきっかけを引用したい。「勉強できることがなぜ”良い”ことかの”根拠”が見つからなかった。正確に言えば、”根拠”が見つからないことに対する、”あれ、おかしいなぁ”という小さな”違和感”がだんだんと大きくなっていって、この問いから避けて通れないほど悩んでしまっていた」からだそうだ。

その問いに対して、彼は次のような答えにたどり着いたという。「縛られた学びだけでは多くの場合”面白い学び”にはたどり着けない。だから、”学びの幅を広げること”が重要だ。正確に言うと、”学びの幅を広げること”で”面白い学び”を実現することができる」

私も学校の学びはつまらなかったが、自分の学びは面白かった口だ。それは、自分の興味に基づいて自分のペースで学びを深めることができるからだ。ただ、孤独だった。ルソーや、レ・ミゼラブルを読んでフランス革命に興味を持っても、そういう文脈でフランス革命について語る相手は残念ながらいなかった。なぜなら、日本語に翻訳されているとはいえ、原典を読んであれこれ考えるより、「入試に出る世界史」を効率よく頭に入れた方が「点になる」からである。

アクティブ・ラーニングにおいても「学び合い」は重要な要素だ。ただ、そこで学び合う内容が従来型の効率性を優先させた学びだとしたら、学び合いの形式そのものには、あまり価値を感じることはできない。

THINKERSには、自分のやりたい学びを求めて、またはそれを表現する場として、自主的に生徒が集まってくる。そのせいか、通信制高校在籍者や、中には休学や中退した生徒もいる。そうした生徒にとっても、学びの機会を得てほしいと常々思っている。

さて、世界初の「緩まないネジ」を発明した日本人をご存知だろうか。NHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも出演した道脇裕氏だ。母親が大学教授の彼は、小学生の時から大学の研究室に出入りし、そのうち学校に行かなくなってしまう。以降は、興味のある仕事と発明を続け、偉業を成し遂げている。まるで、現代版エジソンだ。米国マサチューセッツ州にある、MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏も、大学には進学しているが卒業はしていない。かつてはDJであり、ナイトクラブを運営していたこともある。

このような異端とも思える話を聞くと、それは生まれ持った才能で、「教育して育つものではない」という評価になりがちだ。そうではなく、学校外での環境が学びにプラスになったからだと考えている。もし、親が子供の興味・行動を制限していたら、「緩まないネジ」は生まれなかったかもしれない。学校外でも学べる場があってもいいではないか。

教育に関わる者として、「学びを手段的にとらえさせている”誰か”には憤っていた。そのような”制度化された価値”が蔓延した”学校化”されている場で学ぶのが嫌だ」という生徒の声を真摯に受け止めたい。

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