【連載】教育のユニバーサルデザインにチャレンジ 32 授業で育てるソーシャルスキル 3

星槎大学准教授、日本授業UD学会湘南支部顧問 阿部利彦

 

先月号でも触れましたが、授業のユニバーサルデザインでは、ペアでの対話を重視しています。しかし、ペアでの話し合いはそう簡単ではありません。何のためにここでペア対話を入れるのか、何を話し合わせたいのか、子供たちに何をつかませたいのかを焦点化しなければなりません。またペアの組み合わせもしっかり検討しなければならないのです。例えば勉強の得意な子と苦手な子がペアになると、得意な子が正答を述べ、苦手な子が「そう思う」と返して終了してしまう場合がよくあります。これでは対話とはいえず、教師の代わりに勉強の得意な子が苦手な子に教えているだけです。

教師の中には、子供たちがすぐにペアで話し合えると思っている人もいます。しかし、考える活動を共有するには、ペア活動のトレーニングが必要となります。ペアトーク活動と子供たちの素敵な出会いを演出するためには、子供たちが意見を交換したくなるような、興味・関心の高いテーマを選ぶ工夫が必要です。

そしてペア活動をバージョンアップさせていくことで、相手の立場に共感したり、今まで気づかなかった相手のよさに気づ付いたりできるようになるのです。ペア活動は、ソーシャルスキルトレーニングの役割を果たすわけです。

ペアからグループに広げ、クラスに広げる場合には、フリートークを取り入れるとよいでしょう。フリートークは国語の授業の最初に導入する方法があります。

フリートークの流れは、(1)話題提供者による提案(2)話し合い活動(3)話題提供者によるまとめ(4)先生による振り返りとなります。また話題には、(1)情報提供型(例・一番好きな本は)、(2)悩み型(例・足が速くなるコツは)(3)想像型(例・もし修学旅行先を自由に選べるならどこ)(4)対立型(例・運動会をするなら5月、9月)があります。フリートークは「互いを知る」「関係をつくる」のを基盤とした上で「論理的に話す」ことを目的にしているのです。

話せば話すほど関係が悪くなるのではなく、話せば話すほど関係が深まる、という体験も学級肯定感につながっていくでしょう。

〈引用文献〉阿部利彦、桂聖、盛山隆雄、平野次郎、清水由著『教科で育てるソーシャルスキル40』明治図書、2015

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