【連載】教師のためのセルフコーチング 10 合わせ方で対応は2つに

京都文教大学准教授 大前暁政

 

教師の価値観に合わない行動をとっている子がいるとします。

このとき教師は、次の2つのタイプに対応が分かれます。

1つは、教師である自分の価値観に合うように行動させようとする教師です。すなわち、教師自身の価値観に沿って行動するのを子供に求めるのです。

もう1つのタイプは、子供自身の考えがあるはずだと思い、子供本位に考えて対応しようとする教師です。すなわち、子供の考えや思いをまず確認しようとし、次に対応を考えるのです。

さて、ここで問題となるのは「教師の価値観に合わない行動」とは一体何か、です。

実は、教師の価値観というのは、人によってバラバラです。

一定のものはありません。

もちろん、ルールやマナーのように、ある程度決まった価値観というものはありますし、大切にすべきです。

ここで問題としたいのは、教師自身がもつ価値観のことです。この「教師の価値観」は、1つではなく、絶対的でもないということです。

具体的に、学級で起きる出来事で考えてみましょう。

例えば、グループで協力して活動しているときに、あるグループがもめているとします。その理由は、1人やる気のある子がいて、残りのメンバーにはそこまでやる気がなく、温度差があることでした。きびきびと動く子ばかりではないので、やる気のある子が、ついつい友達にきつい言い方になってしまい、もめてしまったのです。

「一匹狼でも、一人奮闘するのは、すばらしい」という価値観の教師なら、きつい言い方をしたやる気のある子は、ほめられるでしょう。

反対に、「協調性が大切だ」といった価値観の教師なら、「きつい言い方をするのはやめなさい」と注意するはずです。

このように、教師の価値観に沿えば、指導はまるで反対になってしまうのです。

ところが、この事例を子供本位で対応すればどうなるでしょうか。

まず、それぞれの子供の言い分を聞こうとするはずです。それぞれの言い分を認めつつ、それぞれの考え方を確認するのです。そして、「どうすればもめずに活動できるかな?」と投げ掛け、よりよい行動を考えさせようとするはずです。

これは単なる例ですが、指導の仕方はまったく変わりました。

若く、経験のないときには、ついつい教師の価値観に合わせて子供を指導することがあるはずです。

時に、教師の思い通りにならない場面に出くわします。そこで、怒ったり、無理矢理指示に従わせたり、ときに体罰に走ったりしてしまうわけです。

往々にして教師は、「自分が未熟な子供を教えてやっているのだ」という、「上から目線」での対応が多くなっています

教師に合わせるタイプか、子供に合わせるタイプか。教師は、自然とどちらかの行動をとっています。それを自覚するのが大切なのです。

あなたへのお薦め

 
特集