【連載】新聞学習とアクティブ・ラーニング 8 地方紙を活用し地域差探る

東京都立青山高校主幹教諭 本杉宏志

 

前回からの続きで、私が2年前に実施した「地方紙を活用した新聞の読み比べ学習」について報告します。

平成26年12月に実施された衆議院議員選挙報道を利用し、「沖縄の基地問題について地方紙の報道を調べてみよう」というものです。地方紙を活用することにより、東京と沖縄では基地問題に対して温度差があるのに気づかせたいと思ったのです。

授業前にB4判両面印刷のワークシートを用意しました。そのワークシートを用いて「在京六紙と地方紙(今回は沖縄タイムズと琉球新報)の一面の見出し比較」「社説比較とその要約」「記事内容の比較」などの作業をさせました。一人ひとりが全紙を調べられれば良いのですが、時間などの関係でそれはできないので、グループで作業をさせることにしました。

「一面の見出し比較」は全員調べることとし、「社説調べ」や「記事内容の比較」などは1人が1社を担当します。担当することになった新聞の社説などを読み、ワークシートに要約を書き込みます。その作業が終わったところでグループで情報を共有し、在京六紙と地方紙で報道の仕方は同じなのか違うのか、また違うとしたらどんなところが違うのかなどを話し合いました。こうすることにより、時間をかけずに八紙を比較させることができます。

この読み比べの結果、生徒は「東京の人は基地問題に知識や関心が薄く、そのことは選挙にあまり影響していないようだ。沖縄と東京では一体感がないと感じた」「同じ日本であるにもかかわらず、基地に関して本土の人間が関心を示さないことで、沖縄の民意が沖縄だけにとどまるという状況が起こってしまっている」などという感想を述べ合いました。

論調が新聞によって同じではないこと、東京と沖縄では基地問題をめぐる温度差が大きいことを実感したようです。この実践を研究会で発表したところ、東京のある私立高校の先生も同じような実践をしてくれました。

昨年7月に行われた参議院議員選挙の結果を報じる在京六紙と沖縄の二紙を比較させたのです。そこでも生徒たちは「同じ国で同じ選挙なのに争点も記事の書き方もこんなに違うことに驚いたし不思議に思いました」「本土と沖縄にはとても高い壁があると思った」などの感想を述べ合ったようです。

このように地方紙を活用することにより、東京からではない見方を学ぶことができますし、当然ながら、地元紙ですので東京版にはない基地関係の記事も掲載されています。今回は沖縄の基地問題を取り上げましたが、この他にも北海道のアイヌ関係や北方領土の学習をするときにも地方紙を活用しています。

ところで、地方紙はどのようにして手に入れたらよいでしょうか。各新聞社に連絡をすれば郵送などで簡単に入手可能ですが、今回はデジタル新聞を活用してみました。

デジタル新聞ですと、パソコンやスマートフォンで調べたい記事を簡単に検索できますし、地方紙も容易に入手できます。今回、私は「情報」の教員に協力してもらいパソコン室を貸してもらいました。

しかし、よほどうまく時間調整しないとパソコン室を使って授業を行うのは厳しいのではないでしょうか。生徒全員がタブレットを持てるようになれば、今回報告したような実践も、手軽にできるようになるかもしれません。

あと、もう一つの課題は、デジタル版といっても有料であることに変わりありません。無料版もありますが、限界があります。次回、そのあたりも踏まえながら、デジタル版活用について報告したいと思っています。

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