【連載】学び合いで実現するアクティブ・ラーニング 第10回 今後の進路指導は大転換

上越教育大学教職大学院教授 西川純

 

高校入試、大学入試の頃を思い出してください。

志望高校は、模試もしくは地区の統一テストの点数によって自動的に決まってしまうのではないでしょうか。

大学の場合は、数学・理科が不得意だと文系で、国語・社会が不得意だと理系になります。そして、偏差値によって大学に進学するかしないかが決まり、偏差値によって受ける大学も決まります。

非常に単純です。そして、教師も同じようなプロセスで進路指導をします。これは「職業科高校より普通科高校の方がいい。高卒より大卒の方がいい。同じ高校卒、同じ大卒だったら偏差値の高い方を卒業した方がいい」という、至極単純なモデルに基づくものです。

たしかに私の時代、そして多くの教師にとってはおおむね正しいモデルでした。しかし、今は違います。

地区で二番手、三番手の普通科高校に進学するよりは職業科高校に進学する方がいい。偏差値60程度の非ジョブ型大学に進学するよりは偏差値50程度のジョブ型大学に進学する方がいい。なぜなら、地区で二番手、三番手の普通科高校の卒業生や、非ジョブ型の大学生は、卒業したとき正規採用されていません。

総務省の「就業構造基本調査(平成24年)」によれば、平成19年~24年に初めて就職した人の40%は非正規採用なのです。そして、過去のデータを見ると、5年で5%ぐらいの割合で増えています。

つまり、今の小学生、中学校の子供が就職する頃には、半数は非正規採用になってしまうのです。そして、非正規採用の年収は170万円なのです。

われわれの時代であれば、そこそこ名の通った大学であれば正規採用されました。ところが今は違います。職員室を見回してください。教員も例外ではないのです。

見事、正規採用されたとしても安心できません。企業の寿命がどんどん短くなっています。中小企業庁の中小企業白書(2011年度版)によれば、企業(中小企業のみならず大企業も)は起業して約10年で3割が倒産します。約20年で半分が倒産します。

子供たちの時代には退職は70歳や75歳になっているかもしれません。つまり、正規採用されたとしても、生涯に2度ぐらいは倒産を経験するのは希ではない時代を子供たちは生きていかなければなりません。

「偏差値に合わせた志望校を推薦し、その志望校に合格させればお役御免」ではありません。子供たちが60歳、70歳になったときの幸せを確かなものにするべきです。

このあたりに関しては『サバイバル・アクティブ・ラーニング入門』(明治図書)、『アクティブ・ラーニングによるキャリア教育入門』(東洋館)に。

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