【連載】ダウンしないため / してしまったら 10 優先を決め淡々と

公立学校共済組合近畿中央病院メンタルヘルスケア・センター
副センター長 井上麻紀

 

人生には、物事に優先順位をつけて動かないといけない時期があります。全部を手に入れるのは無理で、「今はこれを中心にやろう」と心積もりを持たないと、時間と気力体力との兼ね合いの中で、「どれも中途半端になってしまった」と無力感を抱くかもしれません。「心積もり」なので、自分の中で持っていれば、わざわざ人に言わなくていいのです。

子供たちが生まれ、下の子が小学校に上がるまで、私のスローガンは「淡々と」でした。両方の祖父母とも近くにいない中で、フルタイム仕事と子育てとの両立は工夫が必要でしたし、自分のできる範囲でベストを尽くしながら、心の中での優先順位は子育てでした。

物理的に、子供の保育所へのお迎えや病気などで、職場でできる仕事には時間の制約がありました。いつも何かに追われながら、仕事にベストを尽くすためには「もっとスキルアップしたい」を棚上げし、「間を気にせず仕事をしたい」などの思い入れを持ちすぎず、どう思われても仕方ない、「淡々と」しかし確実にやろうと決めたのでした。

子供が成長したら、また自分の思うように仕事ができるものと思っていましたが、思春期やそれ以降になれば別の質の問題が起こるなど、いつまでも右往左往しています。本当に苦しいときもありましたが、ありがたいことに望んで授かったのだからいいのです。日々の時間は、以前よりも自由になったので、今、仕事としては、子育て真っ最中の人たちのサポートに回れるようにはなりました。そして、自らにも介護の問題が押し寄せました。人生の時期によって、自分の優先とするものは変わるし、変えないといけないのだと思います。

あなたの現在の優先順位は何ですか。それを守るためのスローガンはどんなことでしょうか。何かを選ぶと、何かを諦めなくてはなりません。大人として生きていくのは、そういうことだと思います。思うようにならないことも多い毎日の中で、悔いなき選びを、そして選んだものをよくしていく努力をしていけたら。自戒をこめて。

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