【連載】アクティブ・ラーニングとICT活用 ⑥ 授業支援システムの必然性

文教大学教授 今田晃一

 

他者の立場に立つ想像力を

この1月に行われたセンター試験では、図や写真、グラフを使って思考力や読解力を問う問題が数多く出題された。「日本史A」では水木しげるの妖怪やアニメ妖怪ウォッチの漫画・アニメの図版とその当時の経済動向を関連させて問う問題が話題となり、ニュースでも大きく取り上げられた。単なる教科書の知識を問うのではなく、最新の情報を含めてICTを活用した情報活用能力(情報活用の実践力・情報の科学的な理解・情報社会に参画する態度)の育成が、日々の授業でますます求められている。

文部科学省は平成32年度までに、小・中学校の児童生徒1人に教育用コンピュータ1台を整備する目標を掲げており、教育現場ではタブレット端末の導入が急速に進んでいる。多くの自治体および学校では、パソコン教室のリース契約が切れるのを機に、40台〜100台のタブレット端末に変更する場合が多いようである。加えてタブレット端末の機能を生かす無線LANと授業支援システムを整備するのが一般的である。授業支援システムは、多くの機種が発売されており、値段によってサーバの有無、個別学習教材、音楽やプレゼンのアプリなど、さまざまな機能が追加される。

ただ、これらの授業支援システムの最大公約数的な機能は、アクティブ・ラーニングを想定した、児童生徒の端末から情報を集約、共有できる「協働学習支援ツール」であろう。

協働学習での書き込みも、アナログとデジタルそれぞれの必然性を意識/文教大学での授業で
協働学習での書き込みも、アナログとデジタルそれぞれの必然性を意識/文教大学での授業で

この授業支援システムにおいても必然性を意識したい。協働学習において、iPad用のアプリ「ロイロノート」と付箋による手書きとの使い分けを意識させたい(写真)。たとえ授業内の自由な意見の書き込みであっても、デジタルである限り、一度書いたものは消えないとの認識で臨むことが大切である。自分の文を読んだら相手はどう受け取るだろうか、相手にとってためになる情報になっているか。そのような他者の立場に立った想像力を身に付けて初めて、相手の心を動かすような情報活用力が身に付いたといえよう。もちろん、付箋の手書きは少しでも、多くのアイデアを出し合う場に適している。常に必然性が求められる。

言語脳科学者の酒井邦嘉氏は、その著書の中で「自分で考えられる人材を育てることこそが大学教育の目標」であるという前提のもと、「学習支援プログラムは、決して教師の代わりにはなり得ない」「電子教科書を使うようになったら、考えるための時間、そして表現力を伸ばす時間をむしろ多くとらなくてはならない」と述べ、人間の知的能力は、相手の立場に立ったコミュニケーションを通じてこそ習得できるとしている。

改めてセンター試験をデジタルの視点で検討すると、アクティブ・ラーニングを促進するICT活用の授業アイデアの宝庫である。文部科学省のメッセージとして重く受け止めたい。

参考文献=酒井邦嘉著(2011)『脳を創る読書—なぜ「紙の本」が人にとって必要なのか』実業之日本社

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