【連載】アクティブ・ラーニングとICT活用 ⑦ 博学連携がもたらすもの

文教大学教授 今田晃一

 

それは創造的学びの宝庫

OECDによる学習到達度調査(PISA)2015の結果が、昨年12月6日に公表された。日々の先生たちの努力により、平均得点で日本のランクは科学的リテラシー、数学的リテラシーが共にOECD加盟国の中ではトップレベルの水準を維持することができた。

一方、学習状況および学習環境の国際比較に関する調査では、日本は、「創作物アップロード・共有の頻度」については、世界最低という大きな課題も明らかになった(「学校広報」=http://i-learn.jp/から)。アクティブ・ラーニングはあくまでも学習観であるが、ICTを活用する際には、主体的・協働的、創造的であることも意識したい。

ICTを活用したアクティブ・ラーニングの創造物としては、さまざまなアプローチが考えられる。ここでは博物館と学校が連携した博学連携の視点を提案したい。
博物館は、モノ(展示資料)を媒体とした教育メディアであり、学習材としての多くの情報を有している。博物館を利用する授業では、学習者が展示資料に出会うまでのストーリーづくり、そのための事前の学習が重要となる。

幸い近年は、「デジタル・ミュージアム構想」により、展示資料に関するデジタル情報がWebサイトに豊富に用意されている。この構想は、総務省が進める地域の文化施設(美術館や博物館など)に蓄積された文化財などのデジタル情報に、ネットワークを通じて誰もがアクセス可能な状態にするものだ。

そこでここでは、筆者が関わった博学連携の最新の実践事例を示したい。

埼玉県越谷市には「ミラクル」という科学体験施設がある。市内の小学校3・5年生全員が、ミラクルの科学実験体験・科学工作体験講座を年に2つずつ、解説のプリントを基に選んで受講する。ただ、児童の中に、選んだ講座とのミスマッチが生じ、常に課題とされてきた。

越谷ICTを活用した授業づくり研究会Webサイト「ミラクル紹介映像」のページ
越谷ICTを活用した授業づくり研究会Webサイト「ミラクル紹介映像」のページ

一方、市では市内の有志の先生を中心とした自主的な研究会である「越谷ICTを活用した授業づくり研究会」が活動しており、役立つデジタル教材の開発などを行っている。実際にミスマッチを経験した先生が中心となり、地元大学生の有志が協働で各講座の紹介映像を作成し、Webサイトにアップした。

取り組みは1学期に始まり、2学期に全30講座の紹介映像の作成が一気に完了し、3学期には実際に紹介映像を基に授業の中で活用された。

1本の紹介映像が平均約40秒と短く、一定の型がある中で自身のオリジナリティー、創造的な余地があること。紹介映像が、市内の児童全員にだけ役立つ情報として特化した点が、取り組みが充実した要因であったという。学びを広げ、つなげる博学連携を、ICT活用とデジタル視点でアプローチすることで、創造的な学びの可能性を広げたい。

参考文献=中牧弘允・森茂岳雄・多田孝志編著(2009)『学校と博物館でつくる国際理解教育—新しい学びをデザインする』明石書店

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