【連載】学校教育相談の歩みと展開 第19回 キャリア教育と進路指導

函館大谷短期大学名誉教授 保坂武道

 

■これまでの進路指導素描

今までの進路指導には、往々にして次のような苦い記憶がある。

▽どんな指導を受けてきたか=点数による選別。それはときに、差別の様相さえ呈していた。

▽どのように決めてきたか=せっぱ詰まった時期に。

▽どう決められたか=多くの場合は、ほぼ押しつけの体。説得はあっても納得感は薄かった。

■これからのキャリア教育・進路指導

▽「生き方教育」=キャリア教育・進路指導を「生き方教育」として捉え、進路や職業を選択し、ライフスタイルを決める▽好きなことは何か=これを視点に据え、進学や職業選択をしていく▽したいのは何か=自分の本当の欲求や価値観の置きどころを深く探り、知る▽できることは何か=自分の能力を探る。したいこと、好きなことを実現するために、自分にはどんな能力が必要になってくるのかを探る。

これらを自分で自分に問いかける。

これらは、子供から大人まで、生きていく上で大事な過程、まさに「生きる力」である。

■学校で行うべきキャリア教育上の指導・援助

▽いま世界は、日本は、どんな情勢かを解明する▽”地球思考”の発想で、わが国が抱えている問題を押さえる▽若者が自立・自律するとはどういうことかを考える▽働く意義や職業選択の意味をしっかりと押さえる▽正規社員と非正規社員との違いを明確に理解する▽人間の生きがいと職業との関係を理解し、意識する▽やりがいを大切にする。

■「7つの力」を育てる

格式張った理論や定義はともかく、明治大学の諸富祥彦教授は、キャリア教育とは「子供の自分づくり、人生づくりへのサポートである」としている。

サポートの視点としては、次の「7つの力」を提唱している。ユニークで核心を突いているので、示しておく。

(1)出会いに生き方を学ぶ(2)夢見る力(3)自分を見つめ選択する力(4)コミュニケーション能力(5)達成する力(6)七転び八起きの力(7)社会や人に貢献することに喜びを感じる力

またキャリア教育実践のための4つのモデルと、キャリア創造のための9つのレッスンを提唱している。
4つのモデルは——。

(1)出会いの場セッティングモデル(2)内省による夢づくりモデル(3)キャリア形成の基礎的な能力育成モデル(4)キャリア疑似体験モデル
キャリア創造のための9つのレッスンは——。

(1)真の意味で自己中心であれ。他人の目を気にするな(2)孤独力を養う。自分らしく生きる。「ゲシュタルトの祈り」。自分との対話(3)自分を創りたい。「人生という作品」をイメージする。願望から一瞬でイメージする(4)本当にしたいことと、わくわくすることに無我夢中で取り組む(5)心の声やざわめきに耳を澄ませる(6)偶然の出会いや出来事に心を開く(7)運命の方向感覚を取り戻す(8)一歩踏み出す勇気を持つ(9)祈りと感謝の心を持ち、人間関係を育てる。

「ゲシュタルトの祈り」=私は私のために、あなたはあなたのために生きる/私はあなたの期待に添うためにこの世界にいるのではない/あなたも私の期待に添うためにこの世界にいるのではない/私は私、あなたはあなた/もし私達が偶然にも出会うなら/それは素晴しい/もしそうでなくても/また素晴しい

ユダヤ系ドイツ人の精神科医フレデリック・パールズによって祈られたゲシュタルト療法・実存主義思想に基づく祈りである。

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