【連載】学び合いで実現するアクティブ・ラーニング 第11回 生き残るための仲間を得る

上越教育大学教職大学院教授 西川純

 

前回は、これからの時代では倒産を経験する、それも複数回経験するのは希ではないことを述べました。

さて、倒産を経験した人が現在の職の情報を誰から得たのかを、マーク・グラノヴェッターというアメリカの社会学者が調査しました。ちょっと考えると、親兄弟やごく親しい友人のように思えます。きっとそのような人たちはいろいろと紹介すると思います。しかし、それは就職にはあまり役に立ちません。なぜならば、そのような人たちの持っている情報は、本人は既に知っている情報である場合が多いのです。

調査の結果、知人程度の人から紹介された場合が多いのです。知人との接点は限られています。だから、その人の情報は新鮮である可能性が高いです。さらに、親兄弟や親しい友人に比べて、知人の数は多いのです。だからそのような人から紹介された職に就職する人が多いのです。

そのような知人を多様に持てるか否かが、失業した後に路頭に迷うか再就職できるかを決めるのです。

では、そのような知人に出会う場所はどこでしょうか。就職すれば、出会う人は職場の人ばかりです。その企業が倒産したなら他人のことを考える余裕はありません。では、どこで出会うのでしょうか。

学校です。おそらく多くの人にとっては学校しかありません。

生活に追い詰められた最後のセーフティーネットは生活保護です。しかし、その制度があるのに餓死する人がいます。なぜでしょうか。生活保護という制度があるのを知らないからです。知っていても、どのように手続きをすればよいか分からないのです。みなさんも、手続きをする所はどこかをご存じないのではないでしょうか。そして、生活保護を受けるための4条件は何かを知らないでしょう。

つまり、生活に追い詰められ、生きられるかどうかの分かれ目にあり、自己効力感の下がっている人に、生活保護という制度があるのを知らせ、一緒に手続きをしてくれる人がいるかいないかなのです。では、そんな人にどこで出会うでのしょうか。

学校です。おそらく多くの人にとっては学校しかありません。

今進行しているアクティブ・ラーニングは、少子高齢社会の中で日本が生き残るためにエリートを養成するのを目的としています。しかし、もう一つの意味があります。それは全ての子供に仲間を与えることです。

本連載を通じて、アクティブ・ラーニングとは普段より話し合い活動を増やすレベルのものではないことが分かったと思います。皆さんの子や孫が60歳、70歳になったとき幸せであるか否かは、今、皆さんがどのようなことをするかによって決まるのです。

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