【連載】新聞学習とアクティブ・ラーニング 9 元旦の新聞を読み比べる

東京都立青山高校主幹教諭 本杉宏志

 

今年も受験シーズンを迎え、何かと落ち着かない日々を過ごしているかと思います。良い結果が出た生徒はいいのですが、うまくいかなかった生徒への声かけに毎年悩みます。

さて今回は、前回書いた「全国紙の読み比べ」に関連して、「1月1日の新聞の読み比べ」についてです。

元日1面のトップ記事には、各新聞社とも、とても強いこだわりを持っていて、そこに何をもってくるかを相当な時間を要して検討しているようです。元旦のトップ記事を見ることにより、各社が考えている「今、最も重要な問題(課題)」が何か分かるといっても良いでしょう。

つまり、それぞれの新聞社が「今の時代でもっとも重要なテーマ」と考えていることが「元日の1面トップ」に掲載されるのです。

今年の在京6紙の1面トップ見出しは、読売新聞は「中国海底に命名攻勢 日本のEEZ周辺申請五十件権益拡大図る」。朝日新聞は「試される民主主義 我々はどこからきてどこへ向かうのか」。日本経済新聞は「『当たり前』もうない逆境を成長の起点に」。毎日新聞は「多文化主義の危機 米・移民流入で生活不安 トランプと世界現場報告」。産経新聞は「小池知事 都議選に三十人超 自民へ”刺客”新党準備」。東京新聞は「対話は力 強きをくじく『恐れ』抱く人々抱きしめる時 包容社会分断を超えて」でした。

各紙とも、さすがに今の時代の特徴をよくつかんだ興味深い記事を掲載しています。ただ、ここで問題なのは、この記事を生徒が実際に読まなくては意味がない点です。社会に関心がある生徒はよいのですが、あまり関心のない生徒はどうでしょう。本校に昨年度まで勤務していた校長(小山利一氏/現早稲田大学教職大学院教授)は、3学期始業式の校長式辞ではいつも、在京6紙の1面記事や社説を紹介し、「社会の動向に関心を持つことの大切さ」や「各新聞を比較しながら読む大切さ」を説いていました。

1月1日の新聞は、冒頭にも述べたように、各社が力を入れて作成していますので、この事例のように、校長が始業式で紹介したり、ホームルームや授業などで取り上げたりするなど、各学校の実態に合わせて、ぜひ活用してほしいと思います。インターネットで検索すると「過去の1月1日の1面」を特集したサイトもあります。

今まで実践した事例としては「生徒たちが生まれた年の1月1日の1面比較」などは大変盛り上がり、現在との対比をさせるなどして、社会に興味関心を持たせるのに効果がありました。このような実践を少しずつすることが、主権者教育にもつながると思っています。

ところで、もう気づいた人が多いかと思いますが、1月1日のテレビ欄には面白い工夫がされているところがあります。手元に1日のテレビ欄を用意し、テレビ朝日で午前6時から始まる「羽鳥モーニングSP新春特大版」の一番左側の文字を縦読みしてみてください。「新たな年が幸多く心豊かな年でありますように」と読むことができませんか。ちなみに昨年もこの番組欄は「新たな年が幸せで健やかな年になりますように」でした。こんなことも生徒に紹介すると、新聞に興味を持つようになってくれるのではないでしょうか。1月1日の新聞には、まだまだ何かあるかもしれません。いろいろと活用してみてください。

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