【連載】飯田稔のすばらしき教員人生 105 切手帳がなくなりました

■教室を空けていた間に

「先生、切手帳がなくなりました」と、S子は訴えた。昼休みにはあった切手帳(ストックブック)が、5校時の体育が終わって教室に帰ってきたら見当たらないとのことだ。

切手帳には、いくつもの記念切手が収められ、S子は自慢げに級友に見せていた。こうした物は、学校に持ってこないようにと、日頃から注意してきていた。でもそれを持参し、学校で紛失してしまったとあれば、担任として対処の要ありだ。(1)本人に再度、机の中、ランドセル、ロッカーなどを点検させる(2)クラス全員に、所持品点検を指示。これには盗みの捜査や自白の強要と思われないよう、十分な配慮が必要。それにしても、教室を空けている時間に見当たらなくなったとは。

■直ちに報告すれば対処あり

(1)(2)の対処で、残念ながら切手帳は発見されなかった。直ちに教頭に急報。教頭は、全学級担任に(3)「切手帳を発見してほしい」と指示。同学3年生を中心に、全校で所持品点検を行ったが。発見されることはなかった。

学校での盗難事故の解決が困難とは承知していたが、(1)(2)(3)と直ちに手を打っても、切手帳は未発見。S子は「親に叱られる」とシクシク泣き出す。クラスの雰囲気も沈みがちとなる。担任は困った表情を見せない。

内心は、どうするか思案。「クラス全員に、心配しないでいいと語る」「S子には、担任が家まで送って、親に事情を話して(担任として)詫びるからと伝える」「これらについて教頭に報告、指示を求める」という対応にした。

■保護者に話をしないと

放課後、重い足でS子を伴い、家まで送り届ける。そして父親の帰宅を待って、両親に事情を説明し、この日の状況についての理解を求めた。もちろん、説明の中に貴重品を学校に持ち込まないことを注意していたと加えた。そして、担任としての注意不足があったことや、全校で切手帳探しをしたが発見できなかったことは遺憾であると誠実に伝えるしかなかった。

両親からは、娘のしたこと(切手帳持参)の失態、そして学校中を騒動にしてしまったことの陳謝。切手帳がなくなったことは、諦めるしかないと話があった。なんとも後味の悪い1日であったが、ホッとしたのも事実。

(元公立小学校長、千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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