【連載】どうする 学校のプログラミング教育 10 なぜ必修化か語れるように

(一社)みんなのコード代表理事 利根川裕太

 

昨年12月の中教審の答申を受けて、次期の学習指導要領案がパブリックコメントに出された。個人的には、筆者もメンバーを務めたプログラミング教育の有識者会議で提案した内容が、学習指導要領案にも反映されたと感じている。

全体的な内容を整理すると、プログラミング教育は「総則」「算数」「理科」「総合的な学習の時間」で言及された。具体的な内容については、各学校が学習計画を決めるカリキュラム・マネジメントに基づいて実施される見通しだ。ただし課題も多いため、今後の展開は次のような点に注意すべきであろう。

1.教科での実践事例について

小学校段階でのプログラミング必修化の発表以降、「教科内でプログラミング的思考を育む」との方針に沿う実践事例が出てきている。その中には、今回の指導要領案で例示された5年生算数の多角形を学ぶ際にプログラミングを用いるといった親和性の高い事例がある。その一方で、教科との関係性が低いものや、プログラミング教育の入門としてミスリードを招くものもある。

こうした不適切な事例については、先日発足した「未来の学びコンソーシアム」などを通じて、内容についての確認をし、良い事例が広まるよう活動を推進する必要があるだろう。

2.プログラミング必修化の指導要領解説編への記載について

小学校段階におけるプログラミング必修化については、昨年4月の産業競争力会議の中で、「第4次産業革命に向けた人材育成総合イニシアチブ」の発表以来、急速に実施の方向がとりまとめられた。その中で「教科内でプログラミング的思考を育む」という方針が独り歩きしており、その背景にある「第4次産業革命にともなう社会構造の変化」や、「生活におけるコンピュータ・プログラミングとの関わり」といったプログラミング必修化に至る背景の理解が得られていない傾向がある。今後の指導要領の解説編等を通じて、教育委員会の指導主事や校長などの管理職においては、「なぜプログラミング必修化なのか」をきちんと語れるよう啓発する必要があると考えている。

3.各立場におけるプログラミング教育の普及推進について

筆者は、小学校におけるプログラミング教育活動を通じて、(1)管理職・教育委員会(2)中核となる教員(3)現場の教員という3つの立場から普及を推進する必要があると考えている。

(1)については、自身がプログラミング教育に直接携わることよりも、必修化についての理解、プログラミングを体験し実感を伴った理解があること、教員育成の支援の3点が必要になるだろう。

(2)の中核となる教員については、出張も含めた研修やロボット教材も含めた研究といったインプット型の研修とともに、模擬授業や研究授業といったアウトプット型の研修も必要だ。

(3)の現場の教員に対しては、平成32年度から逆算して考えることが重要だ。同年の全面実施を考えると、平成31年度、30年度、29年度と、段階的に都道府県レベルから全市町村に横展開しながら各学校に落とし込まなければならない。県内、市町村内、学校内における研修会などを通して多くの教員を巻き込むことが重要だろう。

学習指導要領の改訂案が出て、小学校プログラミングがいよいよ動き出したと考えている。